【共に鼓動を聞く者たち】 343氏



クレア・ヒースローは悩んでいた。
戦闘などの一瞬が命取りという状況下では悩むことなど決して許されない。
もっとも死にたいのなら別であるが。
クレアは死にたくないので、戦場では決して悩まない。
感覚を研ぎ澄まし、最良と思われる選択を即座に選ぶ。
だが、今は戦場ではない。
今はブランドショップである。
「な〜や〜むぅ〜…。」
クレアは新しいスカーフを買うために悩んでいた。
金銭的に両方買うのは厳しいように思われた。
「あぁあ!大人への階段でシックに決めるべきか、でも、こっちもカワイイし…。」
そんなクレアの後方は戦場となっていた。
悩まず、最良と思われる選択を即座に選ぶ。
でもブランドショップなのである。
戦っているのはブランドとアヤカであった。
「これもいいわぁ。こっちは露出が少ないからダメ!」
「サイズおっけ〜!これも!ああ、こっちのもカワイイ!買い!」
二人は半狂乱になりながら、大量の買い物をしていた。
それを見つめる二人の男性。
ルロイとウッヒの両手にはすでに大量の荷物が抱えられていた。
「よく買いますねぇ…。二人とも。」
「買い物でストレス発散してるんだろうな…。」
ウッヒは呆れた目でブランドとアヤカを見る。
「…どうせ、いつも着るのは軍服で買った洋服なんて着る暇ないのに。」
「「やかましいっ!」」
ブランドとアヤカはウッヒに叫んだ後、すぐにまた買い物に戻っていった。
「あ〜う〜…。」
そして、クレアはまだ、悩んでいた。