【シェルド・フォーリーの憂鬱】人大杉で本スレ入れない人氏


交差する光、そこかしこで発生する爆発。シェルドのシルエットガンダムはただ一機で戦場のど真ん中にあった。機体にはほとんど外傷は無く、EN残量もまだ余裕がある。というのも、OZの兵はホワイトファングのビルゴを撃退するのに手一杯だし、ビルゴのAIはOZのリーオーを優先目標としているらしい。だが無事でいられるのも時間の問題であろう。
と、一機のビルゴが正面からシルエットに斬りかかった。シェルドはシルエットのビームシールドを展開させてサーベルを受け止める。そしてすぐさま背中のヴェスバーを腰から跳ね上げ、放つ。ビルゴは胴体から完全に機体を分割されて大破した。だが気を抜く暇もなく、撃墜したビルゴの後方からビームが放たれる。シェルドは機体を捻らせ、かろうじて直撃は避けられたもののシルエットの装甲が軽く焼け付いてしまった。シェルドの頭に若干の焦りが走る。
「このっ!どけぇ!!」
シェルドはそう叫びつつ、新たに現れた2機のビルゴにビームライフルを向ける。放ったビームは狙いを違わずビルゴに直撃するが、とっさにビルゴが展開した特殊防御フィールドのプラネイト・ディフェンサーに攻撃を阻まれ、ダメージを与えられない。
「ならっ・・・これでぇ!」
シルエットはシールドを突き出しながらビームサーベルを手に、ビルゴへと肉迫する。あっという間に一機を切り捨て撃破すると、次の一機に飛び掛り今度はビームシールドをビルゴのボディに食い込ませた。
飛び道具を無効化する相手に対し、接近戦をかける。戦場での常套手段だ。やっかいなのはそういう連中がこの戦場を埋め尽くしていることにある。
シェルドのシルエットはともかく、ただでさえ旧式のリーオーでは最新型でさらにバリアを張れるビルゴに勝てようが無いのである。数の差をものともせず、次第にホワイトファングが優勢になっていき、結果、シルエットが攻撃される危険性が高まっていく。敵の攻撃が自分に集中しはじめ、シェルドの焦りは強くなっていく。かっこ悪いことにさっき一人で飛び出してきたことを猛烈に後悔する自分がそこにいた。
「う・・・敵の数が・・・!」
周囲を見渡す。味方機はいない。暗黙で敵対していなかったOZ軍はほとんどが壊滅、もしくは後退している。これはやばい。視界は敵機から放たれるビームで一杯で目も開けてられない。そして突然、モニタが一機のビルゴで完全に埋め尽くされてしまった。
(目の前!?間に合わ・・・!)
思わず目を閉じてしまった。次の瞬間には自分の機体は爆発し、自分自身も爆炎に焼かれる・・・はずだった。ところが気が付いてみればシェルドを取り囲んでいたビルゴの大群は全ていなくなっている。
『いよう、無事かい?イレギュラーさんよ』
キョトンとなったシェルドにかけられた明るい声。シェルドがその方向を向くと、そこには漆黒のマントを羽織った・・・さながら死神を連想させるMS、ガンダムデスサイズヘルがシェルドを見下ろしていた。

つづく