2月13日 それぞれの想い



そして、2月13日の朝を迎える。
この日の主な話題は、深夜のジュナスとパメラの一騒動のことであった。
話の出所は、アヤカ・ハットリ。
とは、言ってもクルー全員に言いふらしたわけではなく、同期であり、パメラの従姉妹であるミンミ・スミスに言っただけなのだが…。
問題なのはミンミが、リコル・チュアートに喋ってしまったことにある。
お話大好きのリコルのこと。
悪気こそないから良いようなものの、リコルは女性クルー全員に喋ってしまった。
さらに問題なのは。
パメラがジュナスを想っている事を知っている人間が、ピンと来てしまったことにある。
「あぁ、暴走して告白したのね」と。
そして、大問題なのが。
その中に、パメラと同じく、ジュナスを想っている女性がいたことである。
マリア・オーエンスは背後に炎を灯し、
ミリアム・エリンは負けん気を起こし、
クレア・ヒースローは黙ってしまった。

そして、どこをどう情報が捻じ曲がって伝達したのか。
マーク・ギルダーがその場にいて、怒るルナ・シーン艦長代理を落ち着かせた、というデマまで流れ始めた。
その話を聴いて、
エターナ・フレイルは更に彼にほれ込み、
ニキ・テイラーはガラにもなく胸を高鳴らせ、
フローレンス・キリシマは真悪・義流駄亜の刺繍が入った特攻服を作り、
レイチェル・ランサムは起きていればよかったと後悔した。

面白くないのは、イワン・イワノフである。
当然といえば当然なのだが、面白くないものは面白くないのである。
身近にいる連中に愚痴れば、
ブラッドには「ゴミの連中に付き合うことはない」と突き放され、
ギルバートには「自分とて木の股から生まれたわけではない」と達観され、
ドク・ダームには「おっさんがいじけてやんの。ひゃーっはっはっは!」と笑われた。
イワンは面白くない。
物凄く、面白くない。
だから、同じ感情を抱えた唯一の男、ニードルと共謀し、企てを謀り始めた。

こうして、2月13日は過ぎてゆき、
2月14日。
バレンタイン・デイを迎えることになる。

この騒動の渦中にいる3人の男たちは、
まだ、何も知らず、つかの間のひと時を過ごしていた。