最終篇I  〜人と継ぐ者の合間に〜



「え?」
ヅダの操縦レバーに手を伸ばそうとしていたジュナスは、機体のスピードが緩やかになっているのを感じた。
「…何だ、これ?」
緩やかになっているだけではない。
そこに明確な意思があるかのように、ヅダは方向転換し、どこかへと向かっていく。
「どうなっているんだ…?」
この時、ジュナスがコクピット内の計器に目を向けていれば、バーニアもブースターも動いていないことが分かったろう。

・・・・・・
「誰!?」
ジュナスは、誰かの声を聞いた気がした。
・・・・・・
「君は、…誰?」

ヅダは進んでいく。
右手と左足を失いながらも、明確な想いに導かれるように、進んでいく。
ジュナスには、理解することが出来ない。
いや、
きっと誰にも理解できないことだろう。

やがて、ヅダが完全に静止する。
・・・・・・
「降りろって…こと…?」
ベルトを外し、ヅダのコクピットハッチを開ければ、
その目の前にパメラ・スミスが漂っていた。

「パメラ!!」
宇宙移動用の簡易バーニアを付け、ジュナスは宇宙へと飛び出す。
そして、そこに漂っているパメラ・スミスを確かに抱きとめた。
「パメラ!?おい!パメラ!!」
「…」
返事はない。
しかし、ジュナスは、彼女を呼び続ける。
「パメラ!!パメラ!!起きてくれ!パメラァーーーッ!」