第二十九回【同時進行! ソロモン攻略料理教室!!】
助手:ジュナス・リアム
料理:鮭のムニエル



ブラッド「………ブラッドだ。
     …前回のオチの後か? あの件のことなら極秘裏の内に解決した……
     ……と言いたいところだが…… まぁ何とかはなった。
     ニードルやライルにすらあのシステムの操作はわからなくてな…
     …どうやら、ウォーズ出演者にしかわからん仕様だったらしい。
     肝心のドクが全く操作を思い出さんので、仕方なく…
     ……大量のドクに脅えるラを強引に掴まえシステムを操作させ、何とか全員
     元いた時空に戻したという具合だ…… まぁ、三日かかったがな…」
ドク「とぉにかくぅぅぅ!! 何とかなってよかったよなぁぁぁぁ!!」
ブラッド「黙れ黙れ……
     ともかくこの一連の事件は部隊内では「101匹ドク・ダーム事件」やら「ドク・ダームの「穴」事件」とやら
     言われとるらしい…
     一刻も早く記録から抹消して欲しい事件だな……
     ………始末書か? まぁ………星の数ほどは書いたな…」
ドク「あんときゃぁぁぁ…刻の涙が見えたなぁぁぁ!!
   ヒャアーハッハァー!!」
ブラッド「……少し黙っていてくれぬかな?
     そもそも…そんな過ぎた事はもうどうでもいいのだ……」
ドン!
ドク「うぁぁぁ、地震だぁぁぁ!!」
ブラッド「落ち着け、ゴミが…… 宇宙空間だぞ、地震などあるはずが無かろう…」
ドク「おぉぉ、そりゃそぉぉだぁぁぁ!!
   …じゃあぁ何で揺れたのかなぁぁぁ!?」
ブラッド「デブリにでもぶつかったのだろう……
     …説明し忘れていたな。今この艦はレベル上げの為ソロモン攻略戦に参加している…
     今回はその戦闘開始直前の艦内からお送りしているという訳だ……
     さぁ、前置きはここまでだッ!! 今回からはパメラに代わり、新たなアシスタント役が来る事となっている!」
ドク「マジかぁぁぁ!! オレの仕事が減ぇぇるぅぅぅ!!」
ブラッド「クククク…これでキサマの番組内での仕事はカメラマンと照明と……その他諸々だけとなったな。」
ドク「うっひぃぃ、全然減ってねぇぇ!?」
ブラッド「ククク、まだまだ働いてもらわんとな……
     …新アシスタントの話に戻るが、今度も前任のアシスタントからの推薦で決まった。」
ドク「ラちゃんからリコルちゃんになってぇぇ、パメラちゃんになったんだからぁぁぁ…
   またおぺれぇぇたぁぁぁかぁぁ!?」
ブラッド「その流れだと思うがな…… まぁ別にアシスタントだからといって、通信値が高い必要は無いのだがな。」
ドク「誰になんのかなぁぁぁ!?
   あの三人じゃなくてぇぇ、つぅぅしんができるヤツっつったらぁぁぁ…」
ブラッド「…安心しろ、少なくともブランドでは無いぞ…
     まぁそろそろ約束の時間だ、じきに来るだろう……」



〜中略〜
ブラッド「流石はドズル・ザビ直属の防衛隊と言うべきか……展開は早いようだな。
     まぁ、例の兵器さえ使用されれば…連邦の勝ちは見えたようなものだがな……」
ドク「おぉぉぉいブラッドぉぉぉう!!
   ジュナスが来てるぜぇぇぇ!!」
ブラッド「フン、来たか……」
ジュナス「お、お久しぶりですブラッドさん…」
ブラッド「フン…ウォーズに戦いの場が移ってからというもの、キサマと会う機会も少なくなっていたな…
     …紹介するまでもないとは思うが、一応紹介しておこう。
     このゴミこそ、パメラの紹介により新アシスタントに就任したジュナス・リアムだ……」
ドク「何だよぉぉ新アシってジュナスかよぉぉぉ!!
   そういやぁぁジュナスってぇ、通信できるこだったなぁぁぁ!!」
ブラッド「フン、一応初期配置では通信席に座っていたようだからな…
     しかしまさか…キサマのような人間が、ならず者が闊歩する我が番組に来る事となるとはな。
     ある意味、パメラが来た時以上に意外だったぞ……」
ジュナス「パメラさんに頼まれたんです。もう他に頼める人がいないからって…」
ブラッド「フン、とんだ貧乏くじを引かされたようだな……」
ジュナス「いいんです、誰かがやらなきゃいけないんだ…」
ブラッド「………皮肉のつもりで言ったのだがな。まぁいい…
     ともかく…これでただでさえ女っ気の少なかった我が番組からさらに女が減ることとなる!
     視聴者よ、残念だったな…」
ドク「でもジュナスが出んならぁぁ、おんなのヤツも観るよぉぉになるんじゃねぇぇかなぁぁぁ!!」
ブラッド「そうだな…… 今までこの番組によく出る男といえば、魅力値の極端に低いゴミばかりだったが…
     …このジュナスの魅力値の高さならば、女どもを釣るエサにもなるかもしれん。
     艦内の新規視聴者を獲得できるかもしれんな……」
ジュナス「そんな言い方良くないと思いま…
     ……来る!?」
ブラッド「来るだと? 何がだ…」
ドン!!
ドク「うぁぁぁまた地震だぁぁぁ!?」
ブラッド「地震など有り得んと言っただろう……
     …デブリにしては揺れが大きかったな。衛星ミサイルか…?」
ジュナス「そうみたいですね…
     でもおかしいですよ。ラ・ミラ・ルナさんなら衛星ミサイルくらい発見できないわけはないんだけど…」
ブラッド「…あぁ、ヤツは今作戦では通信席には座っていないぞ?
     何せ、キサマがこの番組を撮影している際の穴埋めとして…ラを推薦しておいたからな。
     今作戦にはパイロットとして参加している筈だ……」
ジュナス「な、何てことをするんですか!
     あの人がどれだけ戦闘に参加するのを怖がるのか、知らないんですか?」
ブラッド「何、だからこそ敢えて推薦したのだよ。
     アレでも兵士だ、苦手分野は克服させねばならんからな……ククク!」
ジュナス「ひどいことを…」



ジュナス「それに、みんなが戦ってるのに僕だけこんな所で…」
ブラッド「ククク、気にするな…
     皆が命を摩り減らし戦っている中、こうして重力ブロックでヌクヌクと料理などに興じるのも
     乙なものだろう…」
ジュナス「そうでしょうか…」
ドク「気にすんなってジュナスぅぅぅ!!
   オレだってきょおぉぉは出てねぇぇんだからぁぁぁ!!」
ジュナス「それはそうだけど…
     …こんな事してていいのかな。」
ブラッド「クククク……キサマは仲間の事より自分の事を心配した方がいいのではないか?
     今まではアシスタント役は女だった故、多少は手加減してきたが…
     キサマは一人前の男として、一切手心無く接していくからな! 覚悟しておけ…
     ……まずは粗茶を喰らうがいい!」
ジュナス「は、はい…」
ブラッド「クククク……こうして宇宙でストロー付きではない茶を飲めるのも重力ブロックの特権よ…」
ジュナス「何で調理室が重力ブロックになんか…」
ブラッド「フン、重力も無い状態で調理など不可能だからな…
     昨年の八月、調理室を改装した際に重力ブロックへと改造したのだ!
     …まぁ、他のブロックへ移した瞬間重力が無くなるので持ち帰りはできんのだが…」
ドク「おぉぉぉい見ろオマエらぁぁぁぁ!!
   ソロモンこぉぉりゃくせんがぁぁ、そろそろ始まる感じぃぃぃ!!」
ジュナス「いよいよですか…」
ブラッド「いかんな、そろそろ調理を開始せねば……
     …ジュナス! いきなりだが今回キサマには…アシスタントの他に助手も兼任してもらうぞ?」
ジュナス「兼任ですか。うまくやれるかな…」
ブラッド「なに…ラやリコルにもできたことだ。キサマにできんことはない…」



『鮭のムニエル』材料
・鮭の切り身
・小麦粉
・しょうゆ  
・バター
・じゃがいも
・レモン
・ブラックペッパー

ブラッド「ククク……今回紹介する料理は、昨年やり逃した「鮭のムニエル」だッ!
     あの鮭は結局ゴミ猫にくれてやってしまったが、本来鮭は猫ごときにやるには惜しい可能性を持つ食材なのだ。
     生で刺身にするもよし、塩焼きにするもよし、フレーク状にしてもよし……」
ドク「うおッまぶしぃぃぃ!! ソォォォラシステムだぁぁぁぁ!!」
ジュナス「あ…あの光…
     命が…命が消えていく…」
ブラッド「…ん? この鮭のことなら元から死んでいるぞ…」
ジュナス「いや、それじゃないです…」
ブラッド「フン、ソロモン陥落ももはや時間の問題だな…
     リックドムの大群やビグ・ザムによる悪足掻きは厄介だが、我が軍の軍備なら特に苦戦する事もあるまい…」
ドク「よえぇぇ機体のレベル上げだっつぅぅからどぉぉなんだろぉぉなぁぁ!!」
ジュナス「心配だな…」
ブラッド「…余計な心配だ。さぁ、こちらはこちらで作戦を開始せねばな…
     …調理開始だ! 味方は気にするな!」

〜調理開始〜
ジュナス「最初は何をすればいいんでしょうか?」
ブラッド「ククク…まずは鮭に小麦粉を塗し、焼く前の下準備をする!
     そしてバターを適量に切り、熱したフライパンで溶かし油代わりとする…
     …切る作業はやっておいた…… さぁ、やってみるがいい!」
ジュナス「任せてください! でもなんで小麦粉を?」
ブラッド「フン、これが無くてはムニエルにはなら」
ドン!
ドク「うぁぁぁぁッ、三回目ぇぇぇ!!
   またなぁぁんか当たったかぁぁぁ!?」
ブラッド「何だ、敵の接近を許したというのか!?」
ジュナス「リック・ドムのバズーカの直撃を受けたみたいですね…」
ブラッド「全く、この大事な時に……小麦粉が床に散乱してしまったではないかッ!」
ドク「じゅぅぅりょくあって良かったなぁぁぁ!!」
ブラッド「もし無重力なら面倒なことになっていたな…
     …しかし、まさか我が部隊の旗艦ともあろう艦が…一兵卒のドムごときの攻撃に当たるとはな。」
ドク「あのばずぅぅか当たるといてぇぇもんなぁぁぁ!!」
ブラッド「ブリッジ適正を少しでも上げる為……全クルーが適正Dの席に配置されていたようだからな…」
ジュナス「………あ、この感じ…ドズルさんが出てきたんだ!」
ブラッド「何ィ、ビグ・ザムか……確かグランザムに開発できたな?
     味方の脱出機能持ちの機体を捧げてS登録しておいた方がいいだろうな…」
ジュナス「いえ、ウォーズではS登録はできないんですよ…」
ドク「グランザムもいねぇぇしよぉぉぉ!!」
ブラッド「そうだったな…… つい古い知識で話してしまった。コルトの事は言えんな…
     …しかしS登録もできんとは、不便な世の中になったものだ…
     ……などと言っている場合では無かったな。料理が全く進んでいないではないか……」



〜中略〜
ブラッド「両面をしっかりと焼くのだぞ、この料理の出来栄えはこれで決まる…
     好みでブラックペッパー等で味付けを整えると尚いいだろう!」
ジュナス「はい!
     ……これは…?」
ブラッド「何だ、どうしたというのだ…?」
ジュナス「……助けを求める声が聞こえます…」
ブラッド「助けだと? ……ラか?」
ジュナス「いえ、イワンさんです…」
ブラッド「………無視しろ、どうせ今回もギャグキャラ補正とやらで生き残る…」
ジュナス「いえ、放ってはおけません…… すいません、僕行かなきゃ」
ブラッド「ならん、料理が完成し撮影終了するまではここから出すわけにはいかんな…
     ラ達も通った道だ、観念するのだな…」
ジュナス「そんな…」
ブラッド「…焼くのはその程度でいいだろう。皿に移しておけ…」
ジュナス「は、はい…
     ………!!」
ドン!
ドク「ぎゃぁぁぁまた揺ぅぅれてぇぇるぅぅぅ!!
   ビビってなんかねぇぇぞぉぉぉ!!」
ジュナス「危ない、落とすところでしたよ…」
ブラッド「ええい、ゴミが……しかし、随分と敵に狙われているようだな、この艦は…
     ビリーか…? ゲスト席にビリーが座っているのがいかんというのか…」
ジュナス「多分そうだと…
     …ブラッドさん、これで料理は終わりですか? それなら皆を助けに…」
ブラッド「バカな! これで終わりなど有り得ん!
     ソース作りがまだだ、さっさと作らんとな…」
ジュナス「こんなに揺れてるのにソース作りですか…」
ブラッド「この程度の揺れに屈するなど……部隊中の物笑いの種になるわ!」
ドク「おぉぉぉぉ見ろオマエらぁぁぁ!!
   こあぶぅぅすたぁぁぁがとっこぉぉぉしてるぅぅぅ!!」
ジュナス「あぁ、スレッガー中尉が…」
ブラッド「攻略戦もそろそろ佳境のようだな…しかし展開が速いな。」
ジュナス「クソ……彼を死なせずに済ませることもできたのに…」
ブラッド「何を言う、イベントは出来るだけ発生させた方がいいのだ…
     特にスレッガーやオデロ等の死亡イベントは、用意されているのに見逃してしまう例が非常に多いからな…
     極力撃破させるようにした方がいいのだ……」
ジュナス「貴方は鬼ですか…」



ブラッド「…ともかくソース作りだな。
     ムニエルに合うソースというのも色々とあるのだが、今回は簡単に醤油バター味としよう…」
ドク「おぉぉぉ!! ビグザムがやられてるぅぅぅ!! もったいねぇぇぇ!!
   ……お…おおッ! なんかビグザムからオォォラみたいなヤツがでてるぅぅぅ!!」
ジュナス「ここからでも…ドズルさんの怨念を感じる…」
ブラッド「…キサマら、少しは料理に関心を持て…
     行程を説明する! こちらに集中しろジュナス!!」
ジュナス「は、はい!」
ブラッド「まずは先程使ったフライパンにさらにバターを溶かし、醤油を適量加える!
     ある程度すれば火を止め、先程皿に盛り付けた鮭にかけるのだが…
     …その前に鮭に輪切りにしたレモンを載せておけ。
     そしてソースをかければ今度こそ完成だ…」
ジュナス「わかりました! まずはフライパンに…
     ……!! この感じ、いや…この波動は…」
ブラッド「…またそれかね? いい加減にしてくれぬかな…」
ドク「う…うぁぁぁッ!! 何かぁぁ、頭に音がひびぃぃてくぅぅるぅぅぅ!!
   「ララ」って言ったのよララぁぁってぇ!!」
ジュナス「やっぱりララァさんだ…」
ブラッド「ええいゴミども、料理に集中せんか!
     クッ…ウォーズではソロモン攻略中にあのトンガリ帽子が出てくるのか…」
ジュナス「やっぱりあの人の波動は桁違いです、とても料理どころじゃ…」
ブラッド「そうまで凄いものか……
     一応ワタシも能力覚醒自体はしているが何も感じないがな。
     感受性が高すぎるのも考えものだな…
     ……あのモビルアーマーの発する波動とやらに比べれば、シャアの波動などゴミのようなものかね?」
ジュナス「そんなことは言ってない…」
ブラッド「フン、まぁいい。どうせ味付けの加減が難しい行程だ、ワタシがやっておいてやる……
     有難く思え!」
ジュナス「あ、ありがとうございます…」

〜中略〜
ブラッド「クククク…ワタシの手助けもあったが、調理は終了だッ!
     さぁ、喰い尽くすがいいジュナス!」
ジュナス「……うぅ、うわぁ…」
ブラッド「今度は何だ……」
ドク「あぁぁ、さっきエェェルメェスがやられちまってよぉぉぉ!!
   それでじゃないかなぁぁぁ…」
ブラッド「トンガリ帽子が墜ちたか…
     …ええい、危機は去ったのだ! 何を苦しむ必要がある…」
ジュナス「…あなたは感じないんですか、この悲劇を、苦しみを…
     …アムロさんの、シャアさんの……宇宙の悲しむ声を!!
     なんであなたには宇宙の声が聞こえないんだ!?」
ブラッド「な…何を言っているのだキサマは…
     全く、NTという人種は面倒だとは前々から思っていたが……キサマはルナ・シーン以上だな…」
ドク「んなことよりぃぃぃ!! さっさと締めねぇぇとハマァァァンが来るぞぉぉぉ!!」
ブラッド「…何をバカなことを。 この時代にハマーンなどと…」
ジュナス「………いえ、ウォーズでは本当に来るんです…」
ブラッド「何だと? ええい、これもジェネレーションシステムの影響か…
     ……何でもいいがともかく締めるか。ジュナス! 締めておけ…」
ジュナス「え…しめというのは何ですか…」
ブラッド「ええい、パメラから聞いていなかったのか……
     ……まぁいい、ドク! キサマが締めろ…」
ドク「まっかせぇぇなさぁぁぁい!!
   そんじゃぁぁ、また見ぃてくぅれy」
ドン!
ドク「ひィ、まただぁぁぁ!!」
ブラッド「……もう二度と戦闘宙域での撮影はごめんだな…」
ジュナス「全くです…」