第九回【白熱!王道料理対決!】
登場:ジェシカ・ラング、ラ、バイス、ドク
料理:菓子




ブラッド「ククク…ブラッドだ!」
ラ「今回からまたアシスタント役を務めさせていただくラ・ミラ・ルナです。
  改めてよろしくお願いします!」
ブラッド「…よくもまぁそう平気な顔で戻ってこれたものだな。キサマが消えた所為でワタシがどんな目にあったか…」
ラ「あ、ジェシカさんのことなら誤解はちゃんと解いておきましたのでご安心を。」
ブラッド「解いたとか解かないとかそういう問題ではなかろう!あのゴミにやられた部位がまだ痛む上に
     最近はあの暴力女が夢にまで出てくるのだぞ…あのゴミが、今度会った時はただでは…」
ジェシカ「相変わらず口だけは達者なようだな!」
ブラッド「…バ…バカな!!何故キサマが我が調理室内にッ!」
ラ「紹介します、今回の助手役のジェシカ・ラングさんです!」
ブラッド「な…何だと!?そんなことは聞いていない!聞いていないぞッ!」
ラ「それはブラッドさんが番組の事前の打ち合わせに全く参加しないからでしょうね…」
ジェシカ「アタシが助手役で来ることなどキサマ以外のスタッフは全員知っていたぞ!
     こんなことも把握していないとは、キサマが番組責任者の器ではなかったということの証だな!」
ブラッド「だ、黙れゴミが!もし打ち合わせに参加さえしていればキサマなぞ調理室に足を踏み入れる事も許さなかったものを…
     第一こんな戦闘狂女に料理なぞできるものかッ!」
ラ「ブラッドさん、意外かもしれませんがジェシカさんはすごく料理が上手いんですよ!
  特にお菓子作りは艦内でも一、二を争うくらいの腕だと言われているくらいです。」
ブラッド「何ィ…」
ジェシカ「部隊が金欠の時はよくお菓子屋さんやケーキ屋さんでバイトをしていたからな!」
ブラッド「ガラにも無く店に「さん」づけをするなゴミがッ!全く似合っていないぞ!」
ジェシカ「…」
ブラッド「な、なんという眼力…そんな眼で人を睨むなッ!」
ジェシカ「相変わらずいちいち癇に障るヤツだなキサマ、料理人の器でもない癖に。」
ブラッド「ワタシが料理人の器ではない…ククク、何を言うかと思えば!面白い!
     そこまで言ったからには相応の覚悟があるのだろうな!ラよ!今回は当初の計画を変更し
     この女とワタシで料理対決を行う!異論など通らぬぞ!」
ジェシカ「いいだろう!キサマの実力、確かめさせてもらう!」
ラ「ちょ、急にそんなこと言われても…セッティング等に時間がかかりますし…」
ブラッド「スタッフに大至急やれと言え!サイクロプス隊が襲ってきたときの北極基地のようにな!」
ラ「は、はぁ…」

〜セッティング中〜
レンタル兵(スタッフ)「何だよ急な変更とかよォ…聞いてねえよったく!」
ラ「後で特別手当が出ると思いますのでここは堪えて下さい!」
レンタル兵「何で安い給料でここまで使われなきゃいけねーんだよ…」
ラ「私なんてここまで使われて給料数百円ですよ、私よりはマシだと思って頑張って下さい!」
レンタル兵「し、下には下がいるもんだな…」



ブラッド「ククク、どうやら準備が完了したようだな!では早速対決開始といくか!
     料理品目は「菓子」!!これをより美味く調理できた方の勝利とする!」
ジェシカ「あえて品目にアタシの得意分野を選んでくるとは、キサマらしくもない戦士らしい心構えじゃないか!
     だが手加減なんかはしないよ!非礼になるからな!」
ブラッド「ククク…今のうちに言っておくがいい…ちなみに審査員役はこのゴミだ!」
ドク「うぁぁぁぁッ!腹が減ったぞぉぉぉ!何でもいいから早く食わせろよぉぉぉぉぉ!!」
ラ(大丈夫かなこの人で…)
ブラッド「この対決には制限時間などという鬱陶しい枷は存在しない…気のおもむくままに料理できるからな!
     一応助手も各自一人つけることにする。今までそうやってきたからな…ワタシにつく助手はこのゴミだ!」
バイス「さ〜てと♪オレ様の腕前を見せてやっかな♪」
ラ(バイスさんいつの間に…)
ブラッド「ククク…ジェシカ・ラング、キサマはそこにいるラを助手として使うがいい!」
ラ「わ、私ですかぁ!?」
ジェシカ「いいだろう!ラ・ミラ・ルナ!よろしく頼むぞ!」
ラ「は、はい…(あ〜もう、やればいいんでしょ!やればぁ!)」
ブラッド「ククク…では前置きはこれくらいにして早速調理開始といくか!」



ブラッド「…と息巻いたまではいいが、実はまだどの菓子でいくかを決めてすらいないのだ…」
バイス「ちょ♪そんなので勝てんのかよ♪まぁオレは別にど〜でもいいんだけどさ♪」
ブラッド「黙ってろゴミが!もっと真面目そうなヤツを連れてこれば良かった…
     ク…相手は菓子作りのプロだからな…真っ向からぶつかれば勝ち目は薄い…
     向こうが出してくるであろう洋菓子系統とは別系統の菓子をぶつけるしかない…そうなると和菓子かスナック菓子…」
バイス「おい♪向こうはもう料理しはじめちゃってるようだぜ♪」
ブラッド「い、いかん!バイスよ!あいつらの邪魔をしてくるのだ!」
バイス「待ってました♪ガンガン行くからなァ♪」

ラ「…でもジェシカさん、ガトーショコラのケーキなんて個人で作れるものなんですか?」
ジェシカ「店で売ってるようなものでも、作り方さえわかれば家庭の最低限の器具で作れるものも多い。」
ラ「へぇ〜。でも普通はあんな本格的なのは作れませんよ。やっぱり凄いんですねジェシカさんって!」
バイス「ちょっと失礼♪」
ラ「ば、バイスさん!何しに来たんですか」
バイス「いやぁ〜ジェシカちゃん♪料理が得意なんて意外だねぇ♪新たな一面発見でまたファンが増えちゃうねぇ♪」
ラ「く、口説きモードに入ってる…」
ジェシカ「…(薄力粉とココアを合わせてふるい中)」
バイス「無視かい♪つれないねぇ〜♪オレなんて眼中に無しってかい♪」
ジェシカ「…(卵を卵白と卵黄に分けている)」
ラ「バイスさん戻ってください!邪魔になってますよ!」
バイス「…まぁ今はそんなツンモードでも♪ひとたびオレと一夜を過ごせばたちまちオレのトリコに
ドゴォ!
バイス「痛♪殴ったね♪親父にも…ぶたれたことあるけど♪」
ジェシカ「邪魔をするな!…消えろ!」
バイス「クソッタレが♪今日はこのぐらいで勘弁しといてやらァ♪」
ラ「あ、あのモードのバイスさんを一瞬で…ジェシカさんかっこよすぎます!」
ジェシカ「フン、ヤツはブラッドからの使いのようだな…全く料理人の風上にもおけんヤツだ!」



バイス「ブラッドよぉ♪あの女普通じゃねえよ♪流石の俺もアレはパスだな♪」
ブラッド「一分も持たないとは…どこまでも使えんヤツだな!ゴミめ!」
バイス「そんなことよりよぉ♪何作るのかは決まったのかよ♪」
ブラッド「ククク…向こうが質で勝負のジオン方式なら、こちらは数で勝負の連邦方式だ!
     短時間で作れる菓子を数多く作るのだ…ククク、一年戦争で勝利したのは質のジオンではなく数の連邦だ!
     審査員は腹ペコのドクだ…大して美食家というわけではない、審査となれば量の多いほうに傾くだろう!」
バイス「へぇ♪いろいろ考えるんだなぁ♪で、何を作るんだ?♪」
ブラッド「ククク…ドクの好きそうなジャンクフード系の菓子を作ればいいだろう!まずは「ポテトチップス」だ!
     材料はじゃがいもと調味料だけ…油すら使わぬのだ!
     …まずは蛇腹状に折ったクッキングペーパーの上にスライサーで切った芋を重ならないように乗せ
     塩等の調味料で味付けし、600Wのレンジで五分間加熱すると…見事にパリパリのポテトチップスが出来上がるのだッ!
     どうだ!三行で終わったぞ!これは楽だろう!」
バイス「〜♪」
ブラッド「キサマ聞いているのか…な、イヤホンで音楽を聞いているだと!
     この短時間で興味を失うとは…もういい!キサマなど知らん!次は「ポップコーン」だ!
     材料はサラダ油に塩に市販の「ポップコーンの素」だ…ククク、これを使うのは反則な気もするがこれも勝つためだ…
     まず鍋にポップコーンの素を入れ、サラダ油をポップコーンの素が浸る程度かけ、塩を振る。
     そして鍋に蓋をし、揺すりながら火をかけると…このようにポンポンポップコーンが弾けていくのだ!
     ククク…この行程は中々愉快だ。そうだ!いいぞ!もっと弾けるのだ!…このワタシのためにな!
     …いいごろあいになったら火を止める。これが遅れると焦げだらけのゴミのようなポップコーンになってしまうぞ…
     さぁこれで完成だ!好みで溶かしたバターやキャラメル味の粉末で味付けしてもいいだろう…」



ブラッド「さて次は…何?こんな簡単な料理よりジェシカのチームのガトーショコラ作りを観たいだと?
     ふざけるなゴミが!これはワタシのコーナーなのだ!よって中継されるのもワタシの料理だけだ!
     それにこれを書いている者もケーキ作りには全く詳しくないのだ!
     これも大人の事情というヤツだ…ガンダムや百式が戦場でやたらと目立つ色をしているのと一緒だ…
     わかってくれ…どうしても知りたい場合は「ガトー・オ・ショコラ レシピ」でググってみろ…」

ブラッド「…次は少しは手のかかる料理にしよう。「大学いも」だ!名前の由来は知らん!
     これは準備するものも多いぞ…サツマイモに塩、揚げ油に黒ゴマ…そしてみつ用に砂糖、みりん、しょうゆに水だ。
     まずサツマイモをひとくち大の乱切りにし、塩水に10分程度浸す…この待ち時間に余ったさつまいもで
     さっきの要領でさつまいもチップスを作ってもいいだろう。
     十分経ったらイモを塩水から出し水を切る。そして深めのフライパンに揚げ油とイモを入れ加熱する…
     火の通りにくいイモなどは常温の油から揚げていった方が火が入りやすいのだ…
     サツマイモは薄く色がつき、ショットランサー(竹串)が自然にささる位まで揚げるのだ。
     さぁ、次は「みつ」作りだ!鍋に砂糖、みりん、しょうゆと水を適量入れ中火で熱する。
     トロミがでるまでなッ!…そこまで煮詰まったら火を止めろ。
     あとは揚げたイモをみつに絡め、黒ゴマを振れば完成だ!どうだ!これで三品目だぞ!」
バイス「zzz…♪」
ブラッド「挙句の果てに寝ただと…ク、何という孤独な料理教室なのだ…
     しかも気が付けば我がコーナー始まって以来最大の長さになってないか今回…
     気分転換に向こうの料理でも偵察してくるか…」

ラ「あとは焼けるのを待つばかりですか…美味しく焼けるといいですね!」
ジェシカ「心配するな、ここまで来て失敗するわけがない。
     しかしこんなにいいオーブンが置いてあるとは思わなかったな。」
ブラッド「ククク…いいオーブンだろう?これはワタシが自費で購入したものだ。高かったのだぞ?」
ラ「ブ、ブラッドさん…」
ジェシカ「…オマエも邪魔をしにきたのか?」
ブラッド「ククク…そうではない。ただ見物に来ただけだ。一人の料理をするものとしての好奇心とでもいうかな…」
ジェシカ「料理をするものの、か…キサマもこんな高価なオーブンを買うような男だ。
     料理に対する情熱だけは…少なくとも認めてやるよ。」
ブラッド「…クク、対決開始前からは考えられんようなセリフだな。
     キサマも…想像していた以上の腕と手際のよさではないか。
     そこだけには敬意を払ってやろう…人間性は認めんがな!」
ジェシカ「フン…その言葉、そっくりそのままオマエに返してやるよ!」
ラ(なんか料理人同士の友情みたいなのが芽生え始めてるような気がする…)



〜数分後〜
ブラッド「さて、双方完成したぞ!さぁさっそく審査だ!」
ラ「…あれ?ドクさんいませんね。」
ブラッド「な…ヤツがいなければ決着がつかんではないか!どこだ!どこにいる!」
ジェシカ「ヤツのいた席に紙が置いてあるぞ!」
ブラッド「…何か書いてあるな。」

 がまんできないくらいはらがへっちまったから、きょうはかえってまっくくう
 つくったりょうりはおまえらでくっといて
  どく

ラ(よ、読み辛い…)
ブラッド「な、なんだこれは!何が先に帰るだ!
     今まで最長の長さで引っ張ったオチがこれか!責任者出て来い!…あ、ワタシか…」
ジェシカ「…どうするんだ、これは」
ブラッド「ク…」
ラ「も、もういいじゃないですか勝ち負けなんて。二人とも、今回の対決でお互いのことがよくわかったわけですし…
  単純に勝ち負けを決したりするより、もっといいものが得られたじゃないですか!
  ほら、二人ともお菓子を食べながら…」
ブラッド「そんなキレイごとで納得できるか!どうしても決着を付けねば気が済まん!」
ジェシカ「同感だな!」
ラ(せっかく人がキレイにまとめようとしてるのにこの人たちは…)
ブラッド「そうだいい方法がある!キサマが負けを認めればいいのだ!それで全て丸く収まる!」
ジェシカ「何を言うかと思えば…見損なったぞ!さっきの言葉は取り消す!
     所詮キサマも料理人の器ではなかったようだな!」
ブラッド「ク…ゴミがぁ、こうなったらMS戦で決着をつけるぞ!デッキに出ろ!」
ジェシカ「望むところだ!このワタシを怒らせたこと後悔させてやる!!」
ラ「あ、待ってください二人とも!あ〜行っちゃった…」
  
ラ「(何このオチ…)そ、それでは今回はこの辺で…」