特別編【惨劇! 調理場のメリークリスマス!?】



ドク「ヒャアーッハッハー!! もぉぉすぐクリスマスだぜにぃぃどるぅぅぅ!
   楽しみだなぁぁぁッ!!」
ニードル「あァ!? クリスマスなんかの何が楽しみなんだよ!
     ガキじゃあるめぇし…」
ドク「わっかんねぇヤツだなぁぁ! クリスマスっつったらぁぁぁ…
   ケーキとかとりとかぁぁ、いっぱい喰えるじゃねぇぇかよぉぉぉ!!」
ニードル「お、それもそうだなァ!! ヒャヒャヒャヒャヒャ!!
     腹減ってきたなァ、調理室でも行ってみるかッ!」
ドク「おぉぉぉッ!」

〜調理室〜
ドク「ひゃぁぁぁ!! うまそぉぉな匂いがしてっじゃねぇぇかよぉぉぉ!!」
ニードル「こりゃケーキじゃねぇかァ! それも山ほどありやがる!
     ヒャヒャヒャヒャ、食い尽くしてやるz」
バン!
ニードル「うわ、銃声だとォ!?」
ドク「危ねぇぇぇ!! 何すんだぁぁぁ!?」
ニードル「チクショウ、誰だァ!」
ブラッド「………ワタシだッ!
     キサマら、そのケーキに触れでもしてみろ…威嚇では済まんぞ!」
ニードル「ブラッドかよォ…随分気が立ってんじゃねえか。」
ドク「どうしたぁぁぁ!?」
ブラッド「クククク…よくぞ聞いてくれた!
     このケーキはな…我が軍が格世界の軍隊向けに販売するために作られたケーキなのだ!」
ドク「なにぃぃぃ!? どうゆぅぅことだぁぁぁ!?」
ブラッド「いやな……補給線の不足する各地の戦場でも、クリスマスくらいはケーキを喰いたいという声が
     新兵を中心に増えているようでな…… そこに我が軍の上の者が目をつけ
     ケーキ販売で資金稼ぎをしようという話になったのだ!」
ニードル「何だそりゃ! 軍隊のやる仕事じゃねぇなァ…」
ブラッド「フン、立派な補給任務だ……格世界、年代を自由に行き来できる
     我々にしかできん仕事でもある!
     ……ともかく! その重大な任務の調理担当に……このワタシが選ばれたのだ!」
ドク「おぉぉぉ! すげぇぇじゃねぇぇかよぉぉぉ!」
ブラッド「クククク…これはとても名誉なことなのだ……
     この隊の幾多の菓子作りの猛者を抑え、このワタシが選ばれたのだからなッ!
     料理教室を続けた甲斐があったというものだ…」
ニードル「そーいやここ、菓子作りなら結構うめぇヤツいるもんなァ。良かったじゃねぇか!」
ブラッド「……それ自体は良かったのだがな。
     数だけが数だけにな、中々片付かんのだ…… 今日も朝からの作業なのだが…
     ……まだまだかかるな。やはり一人の作業には限界があるようだ…」
ドク「大変だなぁぁぁ!!」
ニードル「じゃ、食うモンねぇならオレらはかえr」
ブラッド「待て、キサマらも手伝え!
     賄いくらいなら出さんでもないぞ……」
ドク「まかないってなんだぁぁぁ!?」
ブラッド「食事は出すということだ…」
ニードル「何か食えんなら手伝ってもいいぜェ、なぁドク!」
ドク「おぉぉ!!」
ブラッド「(全く単純なゴミどもだ…)
     では調理を再開するか…」



〜中略〜
ブラッド「……そろそろ焼きあがる頃だな。ドク! オーブンから取り出しておけ!」
ドク「まっかせぇぇなさぁぁい!! ヒャアッハッハー、とりだしてやr…
   あ、あちぃぃぃッ!!」
ブラッド「ゴミが、素手で触れば熱いに決まっている…さっさと水で冷やして来い!」
ドク「ひぃぃ、燃えちまうぅぅ、燃ぉえちまぁうぅぅぅぅ!!」
ブラッド「燃えはせん、ゴミがッ!
     いいからすぐに冷やせと言っている!」
ドク「うっひぃぃぃ、わかったよぉぉぉ!!」
ニードル「オイブラッドォ!もうかき混ぜは飽きたぜェ!!
     微塵切りはねぇのか? ありゃストレス解消になるぜェ…」
ブラッド「クリスマスケーキを作るのに何を微塵切りにするというのだ…
     黙ってかき混ぜていろ、食事が欲しければな…」
ニードル「ケッ、わかったよォ…」
ガン!
ドク「ぬぅあぁぁいてぇぇぇ!! 足の小指をぉぉぉ!!
   ぶつけたかもしんないかぁぁもぉぉぉ!!」
ブラッド「ええい、どこまでゴミなのだキサマは……
     ……しかし時間が足りんな。このペースでは納期ギリギリといったところだな…」
ニードル「この数じゃしょーがねーだろッ!
     ドクはあんなだしよォ…」
ドク「いてぇぇぇ!! 死ぬぅぅぅぅ!!
   いろんな指がいてぇぇぇよぉぉぉ!!」
ブラッド「ええい…ドク! キサマは一旦医務室へ行け!」
ドク「りょぉぉかいだぁぁぁ!」
ニードル「オイブラッドッ! 二人じゃキツいんじゃねぇかこの量はァ!?」
ブラッド「…仕方あるまい、さらに増援を呼ぶとしよう……
     ワタシはワタシで誰か暇そうな者を呼びつけておく。ニードル!
     キサマも誰でもいいから呼んでおくんだな…」
ニードル「わかったぜェ!」

〜数分後〜
コルト「よう……今度こそ本当に特殊任務だよな?」
ブラッド「クククク…ようこそ、バーボンハウスへッ!
     さぁ、調理を手伝うがいい!」
コルト「チクショウ、またこのパターンかよ!」
ニードル「おお来たかコルトォ!」
コルト「……ったく、今回は前より機体の調整に時間をかけたってのに…」
ニードル「そういや今日搬入したギラドーガ重装型テメェのかァ?」
コルト「あぁそうだよ…なかなか渋い選択だろ?」
ニードル「悪かねぇなァ! ヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
ブラッド「無駄話をしている暇は無いぞゴミども…
     ……コルト! キサマはケーキが焼きあがったら取り出しここに置け、以上だ!」
コルト「それだけかよ。完全に雑用じゃねぇか…
    そんなのオレはやらねぇからな!」
ブラッド「フン、どうせキサマなどこの時期の予定なぞあるまい……せめて雑用でもして
     少しは部隊の役に立つんだな!」
コルト「何て言い草だよ…」
ブラッド「先に言っておくが拒否権は無いぞ?
     こちらには特殊任務指揮官としての特権があるのだ…断れば当然厳罰に」
コルト「ああわかってるよ、そのパターンだろどうせ!
    やりゃあいいんだろやりゃあ!
    さっさと終わらせてやるよこんなモン…」
ブラッド「ククク、その意気だ…」



リコル「はい、こちらリコル・チュアートですぅ!
    今回はここ、調理室で販売用のケーキ作りをしている皆さんを
    ドキュメントしちゃおうと思います!」
ブラッド「何だ騒がしい…何をしに来たリコル!」
リコル「艦内放送の撮影ですぅ! ブラッドさんがケーキ作りのバイトをしてるって聞きまして
    ついでに撮影して、番外編として放送したらどうかな〜って思いまして!」
ブラッド「バイトではない、正式な任務なのだ…」
リコル「まぁそれはどっちでもいいとして、質問よろしいですか?
    まずこのたび正式任務での調理担当に選ばれた気分は!?」
ブラッド「…フン、中々悪くない気分だな…
     ついにワタシの腕も公に認められたということだ、他のゴミとは違うという証明にもなる…」
リコル「それはそれは。作業の進み具合はどうです?」
ブラッド「……あまりいいとは言えんな。何せ人手不足でな…
     なかなか思うように数がこなせん。ゼノンも少しは人手を回してきたらどうなのだ…」
リコル「それは大変ですね〜。そうだ、あとで先輩にも来るように言っておきます!」
ブラッド「……ラか。あんなゴミが戦力になるとは思えんな…
     パメラは呼べんのか? あの菓子作りの腕があればかなりの戦力になるのだが…」
リコル「用事があるみたいですぅ。残念でしたね!」
ブラッド「クッ……まぁいいだろう。それで次の質問は何だ?」
リコル「はい、次はですね〜…」
コルト「おいブラッド! お前が手止めたらこっちは何にも進まねぇんだがよ…」
ドク「はぁぁやくしてくれぇぇぇい!」
ブラッド「ええい、いい所だったのだがな…
     …相手をしてやれるのはここまでだ、あとは好きに撮影するがいい…」
リコル「了解ですぅ!」
ブラッド「……ニードル! キサマが呼びつけたゴミはまだ来んのか!」
ニードル「そろそろだと思うけどなァ!」

〜数分後〜
ラ「リコルちゃん、用事って何…」
リコル「あ、ブラッドさん! 先輩が来ましたよ!
    好きに使っちゃってください!」
ラ「好きにって…ちょっと、どういうこと!?」
ブラッド「ククク…まぁ落ち着け。
     キサマを特殊任務に加えてやろう…」
ラ「特殊任務って…何なんですか? まさか戦闘じゃあ…」
ブラッド「安心しろ……戦闘ではない。だが我が軍の名誉を賭けた大事な任務ではある。
     …ここだけの話、我々の給料アップにも繋がる任務だ。
     活躍でもすれば昇進も夢ではない……その上、かなり楽な仕事だ!」
ラ「楽な仕事で……昇進に…給料アップ?」
リコル「ほら、こんないい話はありませんよ? 断る理由はありません!」
ラ「で、でもうまい話には絶対裏があるって言うし…」
ブラッド「ともかくやってみることだ!
     キサマの任務は焼き上がりデコレーションも終わったケーキを梱包する作業だ! 簡単だろう…」
ラ「…えっと、それのどこが特殊任務なんですか?」
ブラッド「細かく詮索するのは危険だな…この任務には多くのキナ臭い連中が絡んでいるのだ!
     あまり多くを知ると消されるぞ……ククク!」
ラ「ケーキの梱包作業のどこにそんな危険な要素が…」
ブラッド「ええい面倒な……やれと言われたらさっさとやれゴミが!
     これは命令だ…」
コルト「…拒否権はねぇんだってよ。」
ラ「そ、そんなぁ…私夜勤明けで疲れてるんですけど…」
ブラッド「知らんな! ……嫌なら拒否しても構わんのだぞ?
     その場合は命令違反とみなし厳罰に処されるかもしれんがな…」
ラ「わ…わかりましたよ、やればいいんでしょ!」
ブラッド「フン、そういうことだ…」
リコル「頑張ってください先輩!
    それじゃ、私はこの辺で〜…」
ラ「ちょっと、リコルちゃんは帰っちゃうの?」
リコル「はい! じゃあロングショットさん、続きは任せますぅ!」
コルト「…おいおい、オレにはオレの仕事があんだよ。
    撮影なんかしてる暇あるわきゃ…」
ブラッド「取り出しと撮影両方するんだな…ククク、これも命令だ!
     当然拒否権は存在せん…」
コルト「チッ……ったくえらいヤツに特権をやったモンだよ…」
ラ「まったくです…」



〜数分後〜
ブラッド「ククク…ニードルが呼んだ増援も到着し、我が特殊部隊も
     多少は戦力が充実したか……」
ニール「おいザコォ! オレらの登場はカットかよ!?」
ブラッド「フン、意外に尺を取られるのでな……省略させてもらった!」
バイス「おいおいそりゃ〜ないぜブラッド〜♪」
ブラッド「……この二人のゴミが増援だ。ニードル!
     なぜもっとマシな者を呼ばなかった…」
ニードル「うっせーなァ、みんなヒマじゃねぇんだよォ!
     時期が時期だぜ、考えてもみろよ?」
ブラッド「ク…年末だから休みだとでも言うのか……
     ……まぁいいだろう。ともかく人手は増えた! 作業能率も上がるというものだ…」
ラ「完全な流れ作業でもう料理とは言えませんね…」
ブラッド「フン、大量受注品などそんなものだ…」
ラ「…どうせなら私たちみたいな素人じゃなくて
  お菓子作りが得意な人を呼べば良かったんじゃないですか? ジェシカさんとか…」
ブラッド「フン、ワタシにもプライドがある! 連中の手は借りん……
     …さて、数も増えたところでワタシは休憩を入れるとしよう。」
コルト「お、おい待てよ! 勝手すぎるだろ!」
ブラッド「黙れゴミが! ワタシは朝からの作業なのだ!
     まだ先は長い、少しは休憩でも入れんと身が持たん…
     ワタシが留守の間の指揮は……ラ! キサマに任せることとしよう…」
ラ「わ、私ですかぁ!? なんでまた…」
ブラッド「この中ではまだ少しはマシそうなのでな…
     ……ニードル! 約束だったな、メシを奢ってやる…」
ニードル「ヒャヒャヒャヒャ! お待ちかねの時間だぜェ!」
ブラッド「ククク、キサマは喰い終わったら帰って構わんぞ!
     …ついでにドクも回収してくるか。では行って来るぞ!」


ラ「指揮しろって言ったって…」
コルト「適当にやっときゃいいんだよ。どうせ流れ作業だ…」

〜中略〜
コルト「チッ…ケーキの匂いもこれだけ嗅いでりゃ美味そうにも思えねぇよ…」
ラ「確かにそうですね…」
ニール「おいザコ! 遅ぇんだよ、喋ってないでさっさと梱包しとけ!」
ラ「は、はい!
  ……ってニールさん、今指揮権は私にあるんですけど。」
ニール「知ったことか! オマエみてぇなザコの指揮なんて御免だね…」
バイス「おいおいニールよ〜♪ 女の子にそんな口聞いちゃ〜いけね〜な〜♪
    そんなことだからクリスマスの予定もね〜んだよ♪」
ニール「な、なんでそれを知ってる!?」
バイス「ヒュー♪ おいおい、ホントに無かったのかよ〜♪
    こりゃ〜悪ぃこと言っちまったかァ?♪」
ニール「…コ、コイツ! オレを怒らせて、どうなるかわかってるだろうな…」
バイス「お、言うね〜♪
    ど〜してくれるっつ〜のかな、ニールちゃん♪」
コルト「おいバイス、あんまり挑発すんなよな…
    ニールも落ち着けよ。」
ラ(こういうノリには関わらないに限るわ…)
ニール「うるさい! オレに指図するな!
    おいバイス! オレを怒らせたことを後悔するんだな…」
バイス「お〜お〜口だけは達者じゃねぇか♪ で、ど〜してくれんだよ♪」
ニール「…こうするんだよ!」
コルト「お、おいニール! 何すんだよ!」
ニール「ケーキをバイスにぶつけてやる!」
ラ「や……やめてくださいニールさん!
  そんなことしたらあとでブラッドさんに…」
バイス「……面白え〜じゃねぇか♪ やれるもんならやってみなッ♪」
ニール「言われなくてもやってやる!
    オレからのクリスマスプレゼントだ!……受け取れ!!」
ラ「やめてくださいって! あ…」



……
〜数分後〜
ブラッド「………床に落下したと思われるケーキであったもの……
     そしてラの衣服にべったりと付着したクリーム…
     この状況が意味するものとは一体…?
     ……ラ! キサマの所為か…」
ラ「わ、私は被害者ですよ! ニールさんとバイスさんがぁ…」
バイス「オ、オレ様は悪くね〜よ♪ ニールのヤツだよ♪」
ニール「先にケンカ売ってきたのはオマエだろ!」
バイス「ま、とどのつまりさ…ニールなバカヤローがトチ狂って
    オレ様にケーキ投げつけてきたんだよ♪」
コルト「それが外れてラとかいうオペレーターに当たっちまったんだよ…」
ブラッド「……なるほどな。」
ニール「い…言っておくがオレが悪いんじゃねぇぞ! 悪いのはケンカ売ってきたバイスだ!」
バイス「んなの通るわけね〜だろ♪」
コルト「とにかくこのオペレーターに謝っとけよニール。
    こりゃどう考えてもお前が悪ぃよ。」
ニール「ハッ! 何でこのオレがこんなザコに!
    あんな所に突っ立ってるヤツが悪いんだよ!」
ラ「そんな言い方って……酷すぎます!
  どうして……どうして私がこんな目にぃ…もう帰ります!」
ブラッド「それはいかんな、ここで人手に減られては困る…
     …軍務を途中で投げ出せば降格、給料ダウンくらいでは済まんぞ? それでいいのか…」
ラ「…あ〜もう! わかりましたよ! 残ればいいんでしょ! 残ればぁ…
  でも着替えくらいさせて下さいよ、こんなベタベタの服じゃ…」
ブラッド「フン、それは許可してやる…さっさと戻って済ませてくるのだな!」
バイス「別に戻んなくてったここで着替えりゃいいじゃね〜か♪」
ラ「何言い出すんですかあなたは!
  …まったく、この人たちは…」


バイス「…にしてもひでぇことするよなニールは♪
    アンタって女にモテねぇだろ♪」
ニール「いい加減に黙れよオマエは!」
バイス「お〜怖い怖い♪ 余裕のね〜ヤツはこれだから♪」
ニール「まだ言うかコイツ! 今度こそ後悔させてやる!」
コルト「おい、ニールお前いい加減に…」
ベチャ!
ニール「あ…」
バイス「あ〜あ…本日二人目の犠牲者出ちゃったぜ〜…♪
    災難だったなコルト〜♪」
コルト「お…おい! 何しやがるんだよ! 狙撃するぞこの!」
ニール「そのしょっぱい射撃値でか? ハハハ!」
コルト「言いやがったな…お返ししてや」
ブラッド「やめんか! ゴミが、また大事なケーキをゴミにしおって! キサマなど消えろ!
     消えてなくなれ!」
ニール「言われなくたって! オレは帰るz…うわ!」
ベチャ!
バイス「ヒュー♪ 顔面ヒットだぜぇ♪
    ラちゃんの仇はとってやったぜ〜♪」
ニール「コッ…コイツ!やってくれたな!!」
ブラッド「キサマら! これ以上ケーキをゴミにするようならば本当に」
ベチャ!
ニール「…ブ、ブラッドに当てちまった…」
バイス「コ…コイツはやべぇなァ〜…♪」
ブラッド「………………
     キサマら……どう殺して欲しい? リクエストにはお応えするぞ…」
バイス「に…逃げろ〜♪」
ブラッド「……おのれ!!許さんぞ!!許さんぞ!キサマらぁッ!!」
ニール「クソッ、バイスに仕返ししてやりたかっただけなのに
    なんでこんなハメに!」



〜中略〜
ラ「あ〜あ、せっかくの新衣装が…
  …って、どうしたんですかこの調理室はぁ!?」
ブラッド「……ここで戦争が起きた。それだけだ…」
ラ「戦争って…どういうことですか?」
ブラッド「…ええい、このワタシに皆まで言わせるというのか……
     ……あのゴミどもがあまりにケーキを粗末にするのでな。
     懲らしめるために……な。」
ラ「何をしたんですか…」
ブラッド「昔からよく言うだろう。目には目を、歯には歯をとな……
     ……つまり………そういうことだ…。」
ラ「もしかして……ブラッドさんもケーキ投げを?」
ブラッド「……つい我を忘れてしまってな。
     ワタシは自らの行為に恐怖した……」
ラ「何やってるんですか本当に…
  それで他の人たちは?」
ブラッド「安心しろ、追い出してやった……
     ドサクサにコルトも逃げたようだが…」
ラ「追い出したって……それじゃもう私たちだけじゃないですか!」
ブラッド「そうなるな…… ク、ドクとニードルを帰したのはまずかったようだ…」
ラ「ど…どうするつもりですか!?
  ケーキもこんなにダメにしちゃって…」
ブラッド「フン、材料かなり多めに買っておいた! この程度ならなんとでもなる……
     ……問題はむしろ人数と時間だな。 もうこんな時間だ、このままでは夜を徹しても
     納期に間に合わんぞ……」
ラ「そんな…
  も、もう諦めてやめましょうよ。とても無理ですよ…」
ブラッド「…キサマは何もわかっていないな! いいか、ここで投げ出しでもしてみろ…
     我が軍の信頼は地に墜ち、その上に多額の負債を背負い込むことになるのだぞ!」
ラ「そんなこと言ったって…」
ブラッド「……ともかく手を進めるぞ!
     せっかく掴んだ大任だ……なんとしてでも完遂させてみせる……」
ラ「そんなに大事な任務なら何でケーキ投げちゃったりするんですか…
  …とにかく、私明日も早いのでそろそろ戻りたいんですけど…」
ブラッド「………フン、キサマなどどうせ戦力外だ。好きにするがいい…」
ラ「あ、ありがとうございます。それではこれで…」
ブラッド「……待て、そういえばこの一連のケーキ投げ騒動の間の指揮権はキサマに譲っていたな。」
ラ「…え?」
ブラッド「ククク、指揮官として責任は取らねばいかんな!
     ラよ、帰れるのはこのゴミと化したケーキの後始末をしてからだ…」
ラ「そ、そんなぁ! 私は被害者なのにぃ〜!!」
ブラッド「知らん! さぁ、ドクとニードルも呼びつけて作戦再開だッ!」



〜中略〜
ブラッド「納期まであとわずかという時期に…我々は、注文分のケーキの約半数をゴミに至らしめた……
     ……だが、これは敗北を意味するのか!? 否ッ! 始まりなのだ!!
     我々に残された戦力、時間は本来の予定の三分の一以下に過ぎん…
     それでも尚、我々は進まねばならんのだ! 名誉と金のためにな…」
ドク「おぉぉぉッ!!」
ニードル「ケッ、まだあんのかよ! 面倒臭ェ…」
ブラッド「クククク、奢った食事分くらいは働いてもらわんとな!」
ラ「私はやっぱり帰っちゃダメなんですか…?」
ブラッド「…キサマ、この切迫した状況で一人だけ帰るというのか?
     なんという協調性に欠けるゴミだ……」
ラ「貴方にだけは言われたくありませんよ…」
ブラッド「そうかね? …しかし今消えられると困るのは確かだな。
     それでは給与を出すわけにはいかん…」
ラ「…わかりましたよ。やればいいんでしょ、やればぁ…」
ブラッド「随分諦めが早くなったな。 いい心がけだ…
     ……では作戦再開だッ!」

〜数時間後〜
ブラッド「…………」
ドク「…うぁぁぁ…ぁぁ…」
ニードル「あァ……今何時だァ……」
ブラッド「ん……午前4時といったところだな……」
ドク「うぁぁぁッ!! もうどんだけケーキ作ってんだぁぁぁ!!」
ニードル「こんなもん終わるかッ! JK!」
ブラッド「黙れッ! 口を動かす暇があったら手を動かせ!
     この時間だ、増援も期待できんのだぞ…」
ドク「ぬぅあぁぁぁッ! 時が見えるかもしんないかもぉぉぉッ!!」
ラ「あは…あはは…」
ドク「どぉぉしたラちゃぁぁんッ!」
ラ「あははは…あは…」
ニードル「オ、オイ…コイツ壊れちまったんじゃねぇかァ…
     さっきから何も入ってねぇ箱梱包してっぞ…空鍋の箱バージョンかァ?」
ブラッド「……そういえばラには一回も休息を与えていなかったな…」
ニードル「ぶっつづけでルーチンワークはキツいだろーぜェ…」
ブラッド「確か夜勤明けで疲れているとも言っていたような……
     …いかん、食事も与えていなかった……」
ラ「あははは…箱さんがいっぱい…箱さんが」
ブラッド「…ラ。ドクターストップだ。もう帰っていいぞ…」
ラ「あぁ…箱さんが…箱さんが襲ってくるぅ…」
ドク「あぁぁぁッ!! 時がぁぁぁ! とぉぉきがぁぁぁぁッ!!」
ニードル「コ、コイツらもうダメだァ!」
ブラッド「……いかんな、これは…」



〜翌朝〜
リコル「皆さんおはようございます! リコルですぅ!
    ロングショットさんが途中で抜けてきちゃったので、また私が撮影に来ちゃいました!
    進み具合はどうでしょうか!?」
ブラッド「…………」
ニードル「…………」
ドク「………ぁぁ…」
リコル「あれ、元気がありませんねぇ。ダメですよそんなことじゃ!
    ……あれ、先輩まだいたんですか? 暇なんですね〜。」
ラ「…………」
リコル「も〜、先輩もですかぁ? ダメダメですねぇ。」
ラ「…………」
リコル「そうだ、みなさんに差し入れを持ってきました!」
ドク「うぉぉぉ食いモンかぁぁぁぁ!! 何だぁぁぁぁ!?」
リコル「元気になってくれましたね! これはですね、パメラちゃんが作ってくれたケーキですぅ!
    美味しいですよ、みんなで分けて食べてください!」
ドク「け…けぇぇきだぁぁぁ!?」
リコル「ほら、先輩も! 美味しいですよ!」
ラ「うぅぅ……嫌ぁ…もうケーキはいやぁ…」
リコル「ダメです! ちゃんと食べて栄養つけないと!
    ほら、先輩はこれからすぐ仕事なんですから。出撃ですよ!」
ラ「出撃……? オペレーターじゃなくて……?」
リコル「当然そうですぅ!」
ラ「……もう無理、リコルちゃん代わってぇ…」
リコル「イヤですぅ! それじゃ、食べたら先輩は連れて行っちゃいますので。」
ラ「そんなぁ…」
リコル「あとのことは三連星さんにお任せします!」
ブラッド「ク………まだ人手が減るというのか……」
ニードル「なァブラッドォ…あとどんぐらい作ればいいんだよォ…」
ブラッド「…………安心しろ、徹夜が効いたようだ……
     あと……まぁ半日も作業すれば終わるだろう……」
ドク「……はんにちってどんくらいだったっけぇぇぇ…」
ニードル「わかんねぇ方が幸せだァ……」
ブラッド「………もはや体裁に構ってはいられんな。
     口惜しいが……ジェシカやブランドも呼びつけるか…」



〜中略〜
ブラッド「……ということだ。
     我々は体力の限界だ、休ませて貰おう…」
ジェシカ「どこまでもどうしようもないなキサマらは…
     調子に乗って注文を受けすぎるからこうなるんだよ!」
ブラッド「黙れ黙れ……それはワタシの責任ではない…
     ともかく任せたぞ。レシピは置いてある……」
ジェシカ「甘く見るな、そんなものは必要ない。」
ブラッド「そうか…流石は元プロだな。」
ニードル「で、ブランドのヤローはどうしたんだよジェシカァ!?」
ブラッド「そうだ、あんなゴミでもこういった状況下では戦力になるのだが…」
ジェシカ「アタシが知るか! 用事でもあるんだろ。」
ニードル「この時期にアイツに用事かよ… 何かあんま想像したくねぇなァ。」
ブラッド「まぁどうでもいいことだ……ともかく我々は一旦消える……
     パメラにも来るように伝えてある……
     …キサマとは面識が無いかもしれんが、菓子作りは得意だ。戦力になるはずだ…」
ジェシカ「パメラか、知っている。前に一緒にクッキーを作ったからな。」
ニードル「そりゃ以外だなァ。」
ブラッド「フン、戦闘狂女がまた似合いもせんことを……」
ジェシカ「……あんまりアタシを怒らせない方がいいんじゃないのか?」
ブラッド「そうだったな……
     あとはまぁ…人手が足りんなら適当に暇そうな者でも呼びつけて手伝わせろ。
     そうすればすぐに終わるはずだ…
     ……では任せたぞ。戦士の名に恥じぬ完璧な仕事をしてくれ…」
ジェシカ「今は戦士は関係無いだろ…」
ブラッド「……では行くか。ドク、起きろ!」
ドク「…うぁぁぁ…ケーキがくぅぅるぅぅぅ…」
ブラッド「寝惚けおって……ニードル! 引き摺ってでも連れて来い…」
ニードル「わかったわかった…」

〜数時間後〜
ブラッド「……様子を見に来たぞッ」
ニードル「ヒャヒャヒャヒャ、調子はどうだァ!?」
ブラッド「……なんだこれは、片付き過ぎではないか!? 何が起きた…
     …パメラ! いるのはキサマだけか。どうしたというのだ……」
パメラ「は、はい、調理はもう終了してしまいました…」
ブラッド「何だと!? この短時間にか…」
ニードル「コンスコン隊もビックリだなァ…」
パメラ「運送業者や発注元とも既に話を済ませまして…今作戦は無事終了しました!」
ブラッド「何ぃ……ジェシカめ、そこまでは頼んどらんぞ…
     ええい、それでは今作戦の最後に……このワタシは立ち会えなかったというわけか!」
パメラ「そういうことに……なってしまいますね…
    わ、私はブラッドさんが戻るまで待った方がいいと提案したのですが、ジェシカさんが
    待つ必要は無いと…」
ブラッド「……あのゴミが、何という……
     これでは感慨も何もあったものではないではないか……」
ニードル「まぁ……あんまり落ち込むなよブラッドォ…」
パメラ「気を落とさないで…」
ブラッド「…フン、まぁいい! ともかく作戦は無事完遂できたというわけだ!
     肩の荷もようやく降りた……いやはや、過酷な任務であった…」
ニードル「ホントだぜェ! ドムトロ地獄も霞んで見えやがる!
     もうケーキは当分見たくねぇなァ!! ヒャヒャヒャヒャ!!」
パメラ「…そ、そうですか…
    それじゃ、私が差し入れにお出ししたケーキ…もしかして迷惑だったんじゃ…」
ニードル「ん、んなこたねぇって! なァブラッドォ!」
ブラッド「そ、その通り! 美味しく頂かせてもらった!」
パメラ「そうですか、それなら良かった…」
ブラッド(……ニードル、あのケーキは見つかる前に喰っておけよ…)
ニードル(わかったぜェ…)



〜翌日、クリスマス・イブ〜
ブラッド「クククク…ケーキは全て無事に届いたようだな…
     ガデム運送とかいう運送会社もなかなか優秀なようだ…」
ドク「にしても疲れたなぁぁぁぁ!!
   もぉぉケーキなんかぁ、見たくもねぇぇぇ感じぃぃぃ!!」
ニードル「テメェはあんま役に立ってなかったけどなァ! ヒャヒャヒャヒャ!!」
ドク「んなこたねぇぇよぉぉぉ!!
   なぁぁぁブラッドぉぉ!?」
ブラッド「フン、どうだろうな……
     …いやしかし、難度の高い任務であったが無事に達成できて何よりだな…
     ワタシの名にも傷が付かずに済んだ。」
ニードル「テメェの名じゃなくてウチの隊の名だろッ!」
ブラッド「ククク、言葉のあやというものだ…
     ……そういえば作戦参加者には特別手当が出るそうだ。楽しみにしておけ…」
ドク「そぉぉかぁぁぁ!! 楽しみだなぁぁぁ!!」
ニードル「どーせ大したことねぇ額だろォ?」
ブラッド「さぁな……」

プシュー(ドアの開く音)
リコル「こんにちわ〜!」
ドク「おぉぉリコルちゃぁぁぁん!!」
ニードル「どうしたァ!?」
リコル「あれ、皆さんお揃いでしたか。先日はお疲れ様ですぅ!」
ブラッド「本当にな…… それで、何か用か?」
リコル「はい、ブラッドさん宛てに荷物が届いてまして。
    何でもケーキの返品だとか…」
ブラッド「返品……だと……?」
ドク「どぉぉゆぅぅことだぁぁぁ!?」
ニードル「ま、まさか全部かッ!?」
リコル「いえいえ、そうじゃないです。
    送り先の一つがですね、不要になったということで。送り返してきましたぁ!」
ブラッド「不要になった…だと? バカなッ!
     あのケーキを作るのに我々がどれだけの苦労をしたと思っている…」
リコル「それは私に言われても知りませんよ〜。」
ブラッド「クッ……返品するくらいなら最初から注文するな…」
ドク「そのケーキどうすんだぁぁぁ!?」
ブラッド「……リコル、そのケーキは喰えそうなのか?」
リコル「どうでしょうかねぇ。作ってから結構経ってますし…
    あ、それにここに持ってくる時に運送の方が連邦の襲撃に遭ったみたいで。
    中のケーキはかなりシェイクされてました!」
ドク「なぁにぃぃぃ!! グチャグチャかぁぁぁ!?」
リコル「はい、グチャグチャです!」
ニードル「グチャグチャのバラバラかァ!?」
リコル「グチャグチャのバラバラですぅ!」
ブラッド「ク……何ということだ…」
ニードル「返品したのはどこのヤツらだァ!?」
リコル「はい、北極基地の方々ですぅ!」
ブラッド「またあの基地か……」
リコル「それにしても皆さん気が立ってますね〜。
    そんなに怒ることなんですか?」
ブラッド「当然だッ! ドク、ニードル! 支度しろ…」
ニードル「おォ!!」
ドク「おぉぉぉッ!!」
リコル「え? 何の支度ですかぁ?」
ブラッド「フン、重要機密だ……」

〜北極基地〜
連邦兵A「謎の機体が出現! 基地施設を攻撃しています!」
連邦士官「何!? またゴッグタイプか!?」
連邦兵A「違います! データに無い機体です!所属も不明!」
連邦兵B「とにかく丸くて巨大です! そして恐るべき戦闘能力…ゴッグタイプの比ではありません!
     あれはまるで、丸い悪魔…うわぁぁぁぁ!!」
連邦士官「お、おい! どうした!?
     …う、うわぁぁぁ!! 何だあの黒い球体は!?」

ブラッド「ククククッ! 食物を粗末にするゴミどもよ!
     このサイコ・ハロのパワーの前に……絶望に慄くがいい!
     ドク、ニードル! 連携攻撃を仕掛けるぞ!」
ドク「ヒャアーハッハー!! ジェットストリィィィムアタックだぁぁぁ!!」
ニードル「ヒャヒャヒャヒャヒャ!! 久々に暴れてやるぜェ!!」
ブラッド「ククク……いいストレス解消だ! 破壊しつくしてやれッ!!」
ドク「ハッハァー! 本当に全部ぶっ壊しちまっていいのかぁぁぁ!?」
ブラッド「後のことなど考えるな! これでいいのだッ!!
     そしてこれがオチだッ! 視聴者どもよ……テキトーなオチに慄くがいい!!」