「ランタオ島の決闘」



むかしむかしあるオリキャラ軍に、剣豪ケイン・ダナートの教えにより
「秘剣、つばめ返し」を会得した二人の剣豪パイロットがおりました。
その一人はオリキャラ軍一の騎士、エルフリーデ・シュルツ。
そしてもう一人はかの有名なクレア・ヒースローでした。

ある日二人はどちらが真の「秘剣、つばめ返し」の名手であるか雌雄を決する為に
ランタオ島にて、決闘の約束を取り付けました。

そして、決闘当日。
勝負の見届け人として審判役を申し出たアキラ・ホンゴウさんが見守る中
ついに約束の時間が訪れます。
しかし…
「クレアめ……随分遅いようだな?」
「まさか、道に迷ったんじゃないか!?
 こりゃあ大変だぜ!! その時はオレたちで探しにいかなきゃな!!」
クレアが約束の時間を過ぎても全く現れる気配すらも見せません。
騎士道精神を大事にするエルフリーデさんにとって、これは許しがたい暴挙だったようです。
「よもやクレア……我が剣に怖気づき、勝負を捨て逃げたというのか!?
 …いや、まさかクレアほどの使い手がそのようなことは…」
「そんなことはあり得ねぇ!
 エルフリーデさん! ここはクレアを信じて共に待ち続けようじゃないか!」
「うむ…」

そして、待つこと数時間。
エルフリーデとアキラが待つランタオ島の上空に、輸送艦マディアが現れました。
そしてマディアから、純白の重MSが降下してきました。
パイロットはもちろん…
『待たせたなヒヨッコども!! ……なんてね!』
「おぉ、待ってたぜクレア!!」
女だてらに秘剣つばめ返しの使い手、クレア・ヒースローです。
彼女は愛機「タイタニア」に乗って、数時間の遅刻の後ついにランタオ島にあらわれたのです。
その悠々と降下してくるタイタニアの姿を見て、エルフリーデは言いました。
「ようやく来たかクレアよ! こうも待たせて、心理戦のつもりか?
 だが…ムサシ・ミヤモトがコジロー・ササキに使ったというその手は、私には通用しな」
『いやいや、そういうのじゃなくて素で忘れてただけだから!
 若さゆえの過ちってやつ?』
ズコッ! クレアの言葉にエルフリーデとアキラがズッコケました。

「…まぁ良い!
 それより私も自らの愛馬に乗り込まねばな…」
そしてエルフリーデは指をパチッ、と鳴らして叫びました。
「…参れ! 我が愛馬、ギャン改!!」
すると、背景の岩場がドン、と破裂するや中にはMS「ギャン改」が、堂々たる姿で鎮座していました。
「ちょっとちょっと、どういう準備してたらそんな風にMSが出てくるのさ!
 アキラの入れ知恵でしょそれ! やんなっちゃうなも〜!」
その特撮番組じみた登場にクレアが身も蓋も無いツッコミを入れました。続けてクレアが言います。
「では見せてもらおうか、騎士様の愛馬の性能とやらを!
 クレア・ヒースロー、目標を駆逐する! とかなんとか言っちゃったりして!
 アキラ、試合開始の合図を頼んだからね!」
「任せてくれ! それじゃあいくぜ!!…ガンダムファイト! レディ…ゴォォォォ!!」
アキラが叫ぶと同時に試合が開始しました。
どちらもガンダムではないのでガンダムファイトではありませんが細かい事は言いっこなしです。

しかし…
「…互いに隙がねぇ、仕掛けようもないっていうことなのかッ!?」
アキラが言ったとおり、両者は試合開始地点から一歩も動かず、睨み合うだけでした。
基本的に「秘剣、つばめ返し」は相手の攻撃をいなし放たれる、返し技。
相手が攻めてこなければ、使うことができない技なのです。

「これじゃラチが開かないっていうか…戦況は膠着状態に陥ったってヤツ?」
そして沈黙を破り、クレアのタイタニアがビームサーベルを抜くと同時に突如スラスターを吹かし
ギャン改に急接近し、叫びました。
「…いくよ!! 秘剣、先出しつばめ返しぃー!!」
しかしエルフリーデは冷静にその攻撃をいなすと
「…甘いな! 今度はこちらからがゆくぞ!
 …秘剣、つばめ返しッ!!」
と叫び、ギャン改のサーベルを抜かせタイタニアに斬りかかりました。
しかしクレアは
「……その時を待ってたんだよね! 刮目せよ!
 新秘剣、つばめ返し返し〜!!」
と叫ぶと、エルフリーデの攻撃をいなしさらに隠し腕ビームサーベルで斬りかかりました。
その新技を見てエルフリーデは驚きます。しかし…
「ほう、貴様がこのつばめ返しに対抗する、新たな新技を会得していたとは!!
 …だが、我が家名にかけても…キサマには負けられん!」
と早口で言いながらすんでの所で隠し腕ビームサーベルを回避し、さらに体勢を立て直すと、こう叫びました。
「我が剣の冴え…その身で味わうがいい!
 ……新秘剣、つばめ返し返し返しィーッ!!」
即興で思いついた新技です。
その技をすんでの所でかわしたクレアは、不適にこう言いました。
「おお、やるねぇエルフリ!
 しかし、あたしを敵に回すには君はまだ…未熟!…なんてね!」
「何と!?」
「あたしの技はまだまだあるよ! そ〜れ、新秘剣、つばめ返し返し返し返し〜!!」
「…騎士の意地にかけてもここで退くことはできん!
 新秘剣、つばめ返し返し返し返し返しィーーッ!!」
「未熟! 未熟ぅ! まだまだいくよ、つばめ返し返し返し返し返し返しー!!」
「これこそ騎士の戦いだ! つばめ返し返し返し返し返し返し返しィーッ!!」
「なんとぉ〜! まだだ、まだ終わらんよ!
 つばめ返し返し返し返し返し返し返し返し〜!!」

その折、アキラが呟きました。
「これが噂に聞く無限ループってヤツかぁ!?」
と…

なおもう一人この試合を見届けていた見学者の中に
「この題材で拙者の出番がないのはおかしいでござる」などと呟いていたサムライがいたそうです。

めでたしめでたし。

総括:ケインさんの魂は二人の剣技の中に生き続ける(適当)