「金のジム、銀の脚」


むかしむかしあるオリキャラ軍に、マーク・ギルダーという
最強(公式プロフ談)のパイロットがおりました。

ある日、彼は愛機「フェニックスガンダム」に乗って、中立コロニーのサイド2「13バンチ」の
人口の山と湖を配した、保養地にやってきました。
「いい保養地だ…
 …さて、敵さん達が出てくるのを待たせてもらおうか!」
マークは、この近辺に度々出没するという二機の「隠れハイザック」を見つけ出し
極秘裏の内に撃破する、という単独での極秘任務を任されていました。
フェニックスガンダムにOP「ステルスシステム」と「ミラージュコロイド」
を装備しておいた事もあり、コロニー内部への単独潜入には成功しましたが
一つ問題がありました。
フェニックスガンダムの置き場所です。
何せ無許可で潜入した中立コロニー。
このまま目立つ位置に停めておいたのでは、後々面倒ごとになりそうです。
さて、どうしたものか…
悩んだ挙句、マークは
「アンタにゃ悪いが…沈めさせてもらうぜ!!」
フェニックスガンダムを、一旦湖の中に沈めておく事にしました。
かつて家出に使ったガンダムを砂の中に埋めた伝説のNTがいましたが、それの水版ということでしょう。
水漏れの心配はありません。
何せ、フェニックスガンダムは何気に水中適正高いですから。


そしてそれから数分。マークが湖付近で地形の確認を行っていると、突如
湖の中から、大量の水しぶきを上げてMSが現れました。
「伏兵か!?」
湖の中から現れたのは、女神の異名を持つMS「パラス・アテネ」でした。
パラス・アテネのパイロット、湖の女神さまフローレンス・キリシマが、マークに語りかけます。
『オーッホッホッホ!!…ワタクシこそ湖の女神フローレンス・キリシマでしてよ!』
「キリシマ!? なぜここに…?」
『無粋なことは言いっこナシってモンですわ!』
困惑するマークを他所に、キリシマ女神はマイペースにそう言いました。
そして湖の中から、パラス・アテネにさらに二機のMS…
アルヴァアロンとネロスガンダムを引き上げさせると、続けて言いました。
『さて、と…あなたがこの湖に落としたのは、この金色のジムかしら?
 それともこの銀色の脚を持つMF?』
「いや…オレがここに沈めたのはフェニックスガンダムだし
 そもそも、沈めた理由もあくまでカモフラージュであって落としたわけでは…」
『…ガタガタうっせぇんだよ、さっさと答えやがりあそばせ!』
「答えろも何も……オレがここに沈めたのはフェニックスガンダムだ。
 ネロスガンダムでもなけりゃ、アルヴァアロンでもない!」
『…正直なお方。
 そんなあなたには…この金色のジムと銀色の脚をさしあげましてよ!』
「いやいらん! フェニックス返せ!!」
『んなモン通るかってんですわ! …オーホッホ、高く売るぜぇ!』
そう言うと、キリシマ女神の乗るパラス・アテネは
アルヴァアロンとネロスガンダムを置いて、湖の中へと消えてしまいました。
作戦は台無しですね。
「オレのフェニックスが…
 仕方ない、格好は悪いが…この二機でとことんまであがかせてもらうとするか!!」
その後、悩んだ末にアルヴァアロンに乗ったマークは見事
二機の隠れハイザックを見つけ出し、撃破する事に成功したそうです。
流石は最強(公式プロフ談)のパイロットですね。
ただ金ピカでやたらと目立つMSで戦ったので、後々コロニーの警察に事情聴取されたようですが
正史でも金ピカのMSで暴れたグラサンが似たような事になっていたのであまり問題はないようです。



それから数日が経ったある日。
例の保養地に、ある二人の男が休暇を楽しみに来ました。
「ふふん、たまには避暑地に来るのも乙なモンだのう!
 カワイイ秘書がいないのは残念だけどね!」
「ヒャアーハッハァー!! こはんだぁぁぁッ!!
 不死鳥のよぉぉに羽を伸ばすこのオレさまぁぁぁッ!!」

この二人はオリキャラ軍が誇る二大低魅力値キャラ、イワン・イワノフ閣下とドク・ダームです。
今日は非番という事で、二人でここまで羽を伸ばしに来たのでした。

そして、湖の近くの釣り場にて…
「おぉ、こんな所に水際が!
 押すなよ! 絶対に押しちゃダメだからな!!」
「ハァーハッハ! 押して押してぇ、押しまくぅぅるぅぅ〜!!」
「だ、だから押すなって!」
と、二人がお決まりのくだりをやっていると
「ぐああ! 落ちるぅ!
 ……って本当に落ちそうだって! ドク助けてぇ!」
「えぇぇッ!? このくだりってぇ、本当に落ちなきゃ終わんねぇぇんじゃなかったけぇぇ!?」
「今回だけは特別に助けてって!
 …ほ、ホントに落ちるぅ!」
次の瞬間、ザバーン、という音を立てて閣下は湖に落ちてしまいました。
「のぉぉッ!! 閣下が落ちちまったぁぁ〜!!」
混乱するドクの前に、湖からパラス・アテネに乗ったキリシマさんが現れて
イワン閣下と思われる人物を片手に、ドクにこう語り掛けてきました。
『ワタクシこそ、この湖の女神…
 …ってなんだよドクじゃねぇかよ! テメェが落としたのはこのZERO閣下か? あぁ!?』
「いやぁぁもっとふざけてる感じのヤツぅぅぅぅッ!!」
『チッ…じゃあ、あなたにはこのZERO閣下をさしあげてやりますわ!!』
「ゼ…ゼロかっかってなんだぁぁぁッ!?」
ZERO閣下とは、セリフが比較的真面目だったGジェネレーションZEROの頃の閣下です。
そしてパラス・アテネの手から降りてきたZERO閣下は言いました。
「やぁドク・ダーム…ワタシと共に人の革新を見届けようではないか」
「オ…オレの知ってる閣下と違えぇぇッ!!
 いつもの閣下はどこだぁぁぁ〜!?」
その時、湖から何かMSが飛び出して、そのパイロットとおぼしき人物が叫びました。
『ちょおっと待ったぁ! ZERO時代のワシがそっち行っちゃったら
 ワシはどうなっちゃうの!?』
そのMSは、湖の底に保管されていた、元はマークの愛機のフェニックスガンダムでした。
泳げないイワン閣下は湖の奥底へ沈み、そこで保管されていたフェニックスガンダムを見つけ
命からがら乗り込んで上がってきたというわけです。
「おおッ!? 閣下がぁぁ!!
 湖から不死鳥のよぉぉに蘇ったぁぁぁ!?」
ドクは驚きましたが、キリシマ女神は非情でした。
『あ、テメェ…アタイのフェニックスガンダムを!!
 ほら、さっさと降りやがれってんだよですわ!』
『嫌だぁ! ワシは泳げないんだぞォ!
 …こら、ZEROのワシ! 助けんか!』
今閣下から助けを求められたZERO閣下は、こう言いました。
「残念だが、この世にイワン・イワノフ……時代の立会人は二人もいらん。
 かわいそうだがもう一人のワタシ、キミはここで消える運命なのだ…」
『えぇ!? ちょっと何言っちゃってるのもう一人のワシ!?』
『あーもう面倒くせぇですわ! さっさと降りた降りた!!』
『ちょ、ちょっと! 何でこうなるの!!』

そして閣下は、パラス・アテネの指で器用にフェニックスガンダムのコクピットからつまみだされ
本日二度目の湖落ちを体験しましたとさ。
めでたしめでたし。

総括:今回はだいたいこんなノリで行きます。