最終話「希望の未来へレディ・ゴーッ！！」
――３年後、とある聖地にて。
「ぐわっははは！ 今日も美味しい飯にありつけそうだぜぇ！」
大男が、赤ん坊を両手に掲げて悦に浸っていた。
足もとでは、赤子の母親らしき女が必死でしがみついていた。
「坊やっ！ 坊やっ！ お願いです。食料は差し上げますから、その子だけは許してください！」
近くにいたモヒカンがそれを嘲笑った。
「ヒャヒャヒャヒャヒャッ！ バァーカめ！ 弱者の子供なんかいらねぇんだよ。よって、異教徒の要らない子供は、我々中教が浄化する！ これが本当の弱肉強食ってやつだぜ」
やがて、大男が命令した。
「おい！ 例のものは用意してあるか？」
「バッチリですぜ、あそこにあります」
モヒカンが指をさした方向には、たき火でじっくりと煮込まれた超巨大な中華鍋が顕在していた。
「よ〜し、準備はいいな。それでは人間砲丸、行ってみよう♪」
大男が砲丸投げの要領で、巨大鍋に向かって赤ん坊を放り投げた。
母親が急いで鍋に向かって走るが、モヒカンによって脚を引っかけられ、転倒する。
空高く舞いあがった赤子は、弧を描いて鍋に向かって落ちていった。
「坊やぁ――――！！」
その時、影が飛び出した。その影はジャンプすると、横から赤ん坊を攫い、鮮やかに着地した。
「何だぁ、てめぇは？」
返事をせずに、赤ん坊を抱いた赤毛の男は、母親の元へ駆け寄って助け起こす。
「ありがとうございます！ ありがとうございます！」
赤子を母親に返し、その男は、モヒカンへ顔を向けた。
「こいつはっ！ 最近この辺りに出没する中教狩りですぜ！」
「あ〜ん？ こいつが噂のガンダム使いか。ちょうどいい、俺様の食前運動に付き合ってもらおうか。いくぞ！ 野郎ども！」
どこからともなく何十体ものドラゴンガンダムが出現し、大男とモヒカンはそれに乗り込んだ。
赤毛の男はそれを見て、不敵な笑みを浮かべた。右手を高々と掲げる。
「でろぉぉ――――！ シャァァイニング！ ガンダァァ――――――ム！！」
完