【今日のコロニー。 】軍の犬氏
最終回【ブラックるーくラグーン】
U.C.M0079 スペースコロニー『nice boat.』
「あの、これは何の冗談でしょう?」
僕の名前はシェルド・フォーリー。弄られるのには慣れている。が、そんな僕でも銃口を突きつけられるのには慣れていない。僕の鼻先にその鉄の筒を向けているのは見るからに真面目そうな女性だ。目は切れ長で髪は紺のロング。おそらく年下の同性からカッコいいといわれるタイプの女性。ただし、フリフリドレスを着ている。
「今、私を見て笑いましたね?」
「いや、あの……気のせいです…」
「どこか変ですか?どこか変なんですか?答えなさい少年!」
目がマジだ。撃たれる。ああ、今日は二人は○リキュアの再放送を見て新作のエロゲを起動するはずだったのに何故こんなことに。神様、もし一つだけ願いが叶うなら死ぬのを明日にしてください。もう某ニコニコサイトで違法動画観ませんから。
「く……あくまでも黙秘するということは…やはり何か重大なミスが!!」
「…はい?」
「完璧にお洒落さんになったつもりが!とんでもないミスを!この私が!?」
何がなんだかわからない……が、チャンスだ。銃を手放して頭を抱え込んでいる。
「…っ!?待て!せめてヒントを!!」
僕は変人の叫びを無視して走り去った。島本和彦の漫画並みに全力で。
「?……シェルド…何やってんの?」
「シェルド君…いつもハァハァ言ってますね……誰か追いかけてるんですか?ていうかストーカーですか?警察呼びますか?」
キリシマとエリスタン!ちょうど良いところに!
「キ、キリシマ!電話!警察に電話!!今このコロニーに銃を持ったロリータ女がっ!!!」
こ、これで一安心だ。とりあえず警察が動けば……
「…イジメすぎたか…すまん……」
「…シェルド君…トチ狂ったの?フローラ、警察じゃなくてお医者さんを…」
駄目だァァァァ日ごろの行いが悪すぎたァァァァァ!!!
「待ちなさい少年!!このモテかわ系(笑)ドレスのどこが悪いのか白状しなさい!!!」
もう来たのか!?僕は走り去った。Gガン並みの熱さで。
「……み、見た?エリス?」
「…は、はい…居ましたね…本当に……」
「…おにーちゃん…」
シ、シスちゃん!……いや、駄目だ。子供は巻き込めない……
「シスちゃーん。お部屋の掃除終わったよー。あともう包丁は禁止だからねー…お、シェルドか?なにやって…」
「ルークちょっと巻き込まれろ!!!」
ルークの襟首をつかんで道に引っ張り出す。
「な、何すん……うわ!何か来たァ!!?」
「待ちなさい少年!!このストラップですか!?やっぱり熊より兎のほうが良かったですか!!?」
「そういう問題じゃねェェェェ!!!」
「ああ!そっちの少年でも良いです!この服を見てどう思う!!?」
「す、すごくショッキングピンクです!ギャァァァ追ってきたァァァァ!!!?」
僕たちは走った。ゾ○ドのED並みの軽やかさで。
「……おにーちゃん…ピンチなの?」
「あー…久しぶりのオフだぁ…」
「レイチェル。君の家はどっち?」
「ああ、学校の近くだよ。あんまり広くないけどね?」
「ひろくなくてもだいじょうぶだよ☆エターナさんがこなければ☆」
「アハハ…行こっか…カチュア、ルナ」
おお、あそこにいるのは……
「おーいレイチェール!!僕だよ!シェルド!!」
レイチェルとは小学校来の友達で…
「誰?」
……ごめんなさい嘘つきました。ただのクラスメイトです…
「お、おい!ゲイノージンだぞシェルド!」
「…うん、そうだね…でもそんな場合じゃないよね……」
「しょぉぉぉぉぉねぇぇぇぇぇぇんんんん!!!!!」
「「来たァ!!?」」
僕たちは走り去った。ハヤテのごとく。
「……ああ…そういえば………」
「追い詰めましたよ。少年達よ…さあ、白状なさい!私のどこを改善すべきなのか!!!」
ここはどこかの倉庫内。逃げ場はもう……ない………!
「お、おいシェルド…?い、言ってやれよ?」
「い、嫌だよ…ルーク君言ってよ…名前変えて逃げればいいじゃん…ルロイとかさ…」
「なんで偽名使わなきゃいけないんだよ…くそ…これなら包丁が爪と指の間に刺さったほうが…いや、マシじゃない…混乱してるぞ俺……」
「もう、終わりなのか……」
そのときだった――
「待ちなさい!そこの勘違い女!!!」
「き、キリシマ!?それに…皆も!!!」
そこにいたのは、キリシマを始め、このコロニーの住人達だった(元も含む)
「勘違い?いったい何を?どこを!?」
「それはオシャレではありません!仮装(コスプレ)です!!!」
「な、なんだってー!!!?」
ロリータ女はショックを受けると、よろよろと後ろに下がっていった。そして、そのまま顔を隠して走り去った。まさに、脱兎の如く。
「キリシマ……エリスタンに…シスちゃんも…!」
「あたしも居るんだけどなー…ごめんなさい、さっきはちょっとド忘れしてて…」
「レイチェル…………さん…と他二名」
「「おいおい☆」」
「まあ、無事でよかったよ…これからはちょっとイジメんの控えるわ…シェルド」
「わたしも…嫌がらせは二日に一回にします。シェルド君」
「…怪我…してない…?シェルドおにーちゃん…」
「良かった良かった。これでばっちり顔覚えたよ、シェルド君!」
「まあ、とりあえず…おめでとう……シェルド君?」
「あたしたちかんけーないけどね☆シェルドさんと」
「みんな……ありがとう!」
こうして、僕、シェルド・フォーリーの今日は終わった。
一方―――
「…何故…誰も名前を読んでくれない…ちくしょおおおおおおおお!!!そんなに僕は地味か!?目立たないか!?NTだぞ僕はァ!!?」
「少年!」
「あんたはあのロリータ女!軍人だったのか!?」
「何故こんなところに?帰らないのですか?」
「…僕はね、もう死んでるんですよ。みんながそう言った」
「…パイロットを一人ほしがってるところがあるんですが…話を聞いてみませんか?」
「たまにゃ御法にふれることもする…ですか?」
「いえ、普通に正規軍です」
「僕の名は、ルロイ・ギリアムだ」
その後、彼がガンダムと戦うのは、また別のお話…… FIN