【BE.HERE.NOW】七誌氏
2月14日。
バレンタイン・デイ。
それは、女性が意中の男性にチョコレートを送ることで、自分の思いを告白する日。
しかし、ここ、クラップ級練習艦キャリー・ベース内においては、そんなことを意識した人間は一人としていなかった。
その理由として、送られる男性陣にブラッド、ギルバート・タイラー、ニードル、イワン・イワノフ、ドク・ダームという、チョコレートとは、よほど縁のない人種で占めていたことが挙げられる。
要するに、失礼な話ではあるが、わざわざ買ってまでチョコを送る甲斐のない男しかいなかったのだ。
ここにいるクルーにとって、バレンタイン・デイとは親睦と称した義務イベントでしかなかった。
実際問題、去年のバレンタインで、一番チョコを多くもらったのはエルフリーデ・シュルツであり、彼女はその量に困惑し通しだったという。
やがて、年は改まり1月5日。仕事始めの日。
男3人の新規入隊者がやってくることになる。
他所の艦に赴任中のゼフィール・グラードが、行き先のコロニー内で軍へスカウト。
そして、自分の古巣であるキャリー・ベースへの配属を決めたという。
その話を聞いた女性陣の反応はそれぞれだった。
どうせまたイロモノ揃いだろうと決め込んで、全く期待してしないグループ。
今度こそは、と思いつつやっぱり駄目かも、と、期待半分諦め半分のグループ
全く興味のないグループ、と大まかに分ければ3つに分けられた。
そして。
その男性3人の入隊挨拶日を迎える。
冷静で頼りがいのありそうなマーク・ギルダー艦長見習い
弱気で母性本能をくすぐられるシェルド・フォーリー整備士見習い
強気でリーダー気質のジュナス・リアム通信士見習い
そして、このタイプの違う3名に、女たちは色めき立つことになる。
場所はこの練習艦キャリー・ベースにて。
時はバレンタイン前日2月13日より。
恋物語が、始まる。