第二十五回【新春! 機動戦士、はじめてのお料理!?】
助手:グランザム、FAガンダム
料理:蕎麦


ブラッド「クククク…ブラッドだッ!!
     新年だな… 明けましておめでとうとでも言っておいてやろう…
     年明けからもう一週間以上経っているが気にするな…
     ……まぁ時間軸やら何やら行き来できる我々にとって…新年というのも微妙なところなのだがな!
     そもそもガンダムの世界観に新年を祝う習慣などあるのか…」
パメラ「それは世界観によると思います…
    申し遅れました、パメラ・スミスです!」
ブラッド「まぁいいだろう! それを言い出せばそもそもバレンタインチョコの習慣も節分も無いだろうからな…
     ……そんなことはいい! それはともかく…
     …我が番組もそろそろ放送開始から一周年を迎えようとしている!」
パメラ「そ、そんなに長い間放送していたのですか…?」
ブラッド「フン、そうだ…リコルにもよく飽きないなと言われたことがある!
     だが中々止め時が見つからなくてな! 気がつけば一年もの月日が流れていたのだ…」
コルト「ホントそろそろ止めた方がいいよな…」
ブラッド「カメラマンには口を挟まんでもらおう…
     …ともかく一周年と新年を記念し、我が番組にもマスコットキャラクターをつけることとした!」
コルト「マスコットだ? 何だよそりゃ…」
ブラッド「見ればわかる…… さぁ、入ってくるがいい!!」
プシュー(ドアの開く音)

パメラ「こ、これは一体…?」
ブラッド「これか? …ククク、これはな…新年度から我が番組のマスコットキャラクターに就任した
     着ぐるみグランザム君だ! 怖かろう…」
パメラ「は、はぁ…」
コルト「いや、別に怖かねぇけどよ…可愛げのねぇ着ぐるみだな。
    横幅取り過ぎだしよ…」
ブラッド「ククク、元は4Lだからな……横向きですらドアを通るのがやっとのようだ。
     …この着ぐるみグランザムはガチャ○ン、ムッ○を製作した会社に発注し作らせたものだ!
     サイズもその程度に収めてある…」
パメラ「えっと…何故グランザムなのですか?」
ブラッド「理由か? …戦闘デモでワタシが乗っていた機体の中では最も愛嬌のある機体だからな……クク!
     スピリッツでは多少使い勝手が悪かったが…それも含め愛いMAだ!
     ウォーズではワタシ共々リストラされた! 非常に残念だ…
     …ともかく、このグランザムこそマスコットに相応しい機体なのだ!」
パメラ「はぁ…着ぐるみということは中に人が入っているのですか?」
ブラッド「あえて言おう! 中に人などおらんと!」
コルト「何だそりゃ…」
グランザム「中にいるのはぁ、オレさまだぁぁぁぁ!!」
ブラッド「ええい黙れ! 夢を壊すなゴミが…」
パメラ「い、今の声はまさかドクさんでは…」
コルト「絶対そうだ…」
ブラッド「気にするな! さぁ早速新年初の調理を開始するッ!」
パメラ「調理開始ですか? 助手役は…」
ブラッド「安心しろ、今回の助手はこのグランザム君を使う…」
グランザム「マジかぁぁぁ!?」
ブラッド「だから喋るなと言っとるだろうが…」
パメラ(できるのかな…)



ブラッド「クククク…今回作るのは蕎麦だッ! 簡単な料理だな…
     ホンゴウから聞いたが、日本には年を越すと同時に蕎麦を喰う風習があるそうだからな…
     それに倣ってみるとしよう!」
コルト「もう年越してから大分経ってんだけどな…」
ブラッド「気にするな…ではグランザムよ!
     早速調理にかかるのだ!」
グランザム「おうよぉ!
      …ぬぅあぁぁ、歩きづれぇぇ足だなぁぁぁ!!」
ブラッド「仕方なかろう、元はホバーだ…
     …まずは鍋に水を入れ沸騰するまで温める! さぁ、やってみるがいい…」
グランザム「うぉぉぉし!! あっためてあっためてぇ、あっためまくぅぅるぅぅ!!」
パメラ(やっぱりドクさんじゃあ…)
コルト「お、おい…コイツの腕どうやって動かしてるんだよ?」
ブラッド「聞きたいかね? この着ぐるみグランザムのクローアーム部は…着ぐるみ内部から
     レバーを用い操縦するように出来ているのだ!
     操作はなかなか難しいようだ……」
ガシャ!
グランザム「うぁぁぁッ!! 落としちまったぁぁぁ!!」
ブラッド「ゴミが! 気を付けんか!」
グランザム「んなこと言ったってよぉぉぉ!!」
パメラ「こ、これは調理は無理なのでは…」
ブラッド「いかんな、これで諦めるようでは……
     ……ともかく、グランザムがこの行程を自分で終わらせるまでは…我々は待機だ!」
コルト「マジかよ…」

〜数分後〜
コルト「……まだかよ!?」
グランザム「まだだぁぁぁ!! まだおわらねぇよぉぉ!!」
ブラッド「……ここまで操作が難しいものとはな。これは誤算だった…
     なんという暇さだ…」
パメラ「…コーヒーでも淹れましょうか?」
ブラッド「気が利くな…頼むとしよう。」
コルト「オレにも頼むよ…」
パメラ「はい!」

〜さらに数分後〜
パメラ「ブラッドさんにコルトさん、ミルクと砂糖は入れますか?」
ブラッド「いらん、ワタシはブラック派なのだ…」
コルト「オレもだよ。」
パメラ「了解しました。」
ブラッド「…しかしよく気の付く小娘だ。キサマの先輩どもとは大違いだな…」
パメラ「いえ、そんなことは…」
コルト「…先輩って誰だよ?」
ブラッド「鈍いゴミだな、ラとリコルの事だ…」
コルト「あぁ、アイツらか…そういやコイツもシスオペだったんだっけな。
    ……じゃあこの…パメラだったか?」
パメラ「はい、そうですが…」
コルト「…パメラよりもあの二人のが年上ってことか?
    ZEROのシスオペならともかく、Fのシスオペより年下には見えねーけどよ…」
ブラッド「言われてみればそうだな……
     そもそもだ……使用キャラとしての参戦ならリコルよりキサマの方が先ではなかったか?
     それならキサマの方が先輩ということになりそうなものだが…」
パメラ「はい、チュートリアル役としてはリコル先輩の方が私より先なので…」
コルト「そーいうもんかよ。」
ブラッド「フン、所詮その辺りは書き手のさじ加減だ…」



〜コーヒーブレイク・タイム〜
ブラッド「フム…中々美味いではないか…」
コルト「ホントだな。やるじゃねぇか。」
パメラ「あ、ありがとうございます。
    ところでブラッドさん、お聞きしたいことが…」
ブラッド「…何だ? 料理の質問ならお答えするぞ…」
パメラ「いえ、料理の質問ではありません…」
ブラッド「……何だというのだ。」
パメラ「先日北極のオーガスタ基地から問い合わせがありまして
    何でも基地にサイコ・ハロが出現したという報告が…」
コルト「サイコ・ハロ? それじゃウチの隊じゃねぇか。」
パメラ「はい、世界広しといえどあの兵器を所有しているのはこの軍だけなので……
    何か関係があるのではないかと。」
ブラッド「……知らんな。例の…ジェネレーションシステム、とかいうものの誤作動だろう。
     確かあの機関もサイコ・ハロを所持していたはずだ……そうだ、そうに違いない…」
パメラ「本当にそうでしょうか…」
グランザム「あぁぁ、あのサイコハロかぁぁぁ!!
      ありゃオレらだぜぇぇぇ!! なぁブラッドォォォ!!」
ブラッド「だ……黙れゴミが! そんなことは有り得ん!!
     キサマはいいから鍋と格闘していろッ!! ゴミが!」
パメラ「………」
コルト「………」
ブラッド「ええい、疑いの目を向けるな…」

〜数分後〜
ブラッド「キサマ、この程度の作業がまだ終わらんのか…」
グランザム「………」
ブラッド「しょげとる場合かッ! さっさと作業に…」
グランザム「うぁぁぁ、うるせぇぇ!!
      こんなほっせぇぇぇ腕とツメでぇぇ、水ったっぷりのぉぉぉ!!
      鍋なんか持てるかぁぁぁ!!?」
ブラッド「持てぬというのか…ならば仕方あるまい、この作業だけはやってやる…」
グランザム「ヒャアッハッハー!! ありがてぇぇぇ!!」
コルト「最初からそうしろよ…何なんだよさっきまでのムダな時間は?」
ブラッド「何度も言うが気にするな……」

〜中略〜
パメラ「では次の行程です。」
ブラッド「次は麺を鍋に入れ茹でるだけだ! 簡単だろう…」
グランザム「ぬぅあぁぁぁッ! 手が上がらねぇぇよぉぉぉ!!」
ブラッド「バ、バカな…構造的に無理だとでも言うのか!?」
コルト「それ以外に言いようねーだろ…」
ブラッド「ク… もういい! 今回の収録は中止だ!?」
コルト「な、何言ってんだよ!?」
パメラ「こ、ここまで来てですか!?」
ブラッド「幸いまだ麺を茹でてはいない……止めることはいくらでも可能だ!
     次の収録までに着ぐるみを改良し、料理できるまでにしておこう…」
パメラ「なぜ着ぐるみに調理させることにそこまでこだわりを…」
ブラッド「ともかく収録は中止だ! キサマらは帰って構わんぞ…
     …ドク、もう着ぐるみは脱いでいいぞ…」
グランザム「ひゃはははー! やっと楽になるみたいだぁぁぁ!!」
コルト「お、おいおい…本当に止めるのかよ…」
パメラ(ドクさんって言っちゃったし…)



〜翌日〜
ブラッド「さぁ収録再開だッ! まいていくぞ…
     料理品目は蕎麦! そして助手はマスコットキャラだ!」
パメラ「グランザム君です!」

プシュー(ドアの開く音)

FAガンダム「ヒャアッハッハー!!
      オレ様がガンダムだぁぁぁ!!」
パメラ「グ、グランザムじゃない…?」
ブラッド「フン、グランザムの形ではどう足掻いたとて料理は無理そうなのでな…
     他の候補として……ワタシが放置デモの中で搭乗した機体の中では
     最も人間に形が近い、このFAガンダムを選んだのだ!」
パメラ「はぁ…これはまた大胆な方向転換を…
    でもこれならなんとか調理はできそうですね。」
コルト「…お前、ガンダムなんかでデモ出たことあんのかよ。意外だな…」
ブラッド「……スピリッツのデモでな、エルンストの支援機として登場したのだ…」
パメラ「戦闘デモNo.68ですね。
    確かその際エルンストさんの乗機もFAガンダムでしたね。」
ブラッド「そうだ、もう一機いたが誰が乗っていたかは知らん…
     ……しかし、よくそんなことを覚えていたな…」
パメラ「このくらいのことは全て頭に入っています!」
ブラッド「何だと…」
コルト「まぁ、とにかくメインじゃねぇんだな…
    …にしてもお前、ずっと連邦の服着てる割には
    デモの機体はジオン系ばっかだよな。」
ブラッド「放っておけ! デモに出演したことすら無いゴミが何を言うか…」
コルト「それこそほっとけよ!」
ブラッド「…フン! ともかく調理開始だ! 準備しろFAガンダム!」
FAガンダム「うぁぁ…重いぃ…重くて動きづれぇぇかもぉぉぉ…
      しんない…かぁぁ…もぉぉ…」
パメラ「重いと言ってますが…」
ブラッド「重いか? そうだろうな…この着ぐるみは再現度向上のため
     材質は本物と同じルナ・チタニウム合金で出来ているからな! それは重かろう…」
FAガンダム「何だとぉぉぉ!! そりゃねぇぇよぉぉぉ!!」
ブラッド「着ぐるみ製作は今度はアナハイムに発注した…
     …再現度の高い着ぐるみをと…頼んだ結果がこれだ!」
パメラ「そ…それで、動けるんですかドクさん!?」
FAガンダム「なんとかぁぁぁぁ…なるかぁぁぁ!!」
ブラッド「何とかしてみせろ! その着ぐるみ製作にはな…安いMSなら生産できてしまう
     ほどのコストがかかっているのだ! 結果は出さんとな…」
パメラ「このサイズでそれほどのコストが…」
ブラッド「ともかく調理開始だッ! さぁ…どう料理して欲しい!?」



〜中略〜
ブラッド「…フン、流石は人型…鍋に水を入れコンロに置くまでの行程は早いものだな。
     グランザムとは雲泥の差だ…」
FAガンダム「そりゃぁぁな!! ヒャッハッハー!!
      …でもぉぉ…腕重くて疲れた感じぃぃぃ!!
      蕎麦かき混ぜんのとか無理ぃぃぃ〜!!」
ブラッド「そうか…仕方あるまい、アーマー部分のパージを許可する!」
FAガンダム「ヒャッハー!! ありがてぇぇぇ!!」
ブラッド「…本来GジェネにおけるFAガンダムには、奇妙なことにフルアーマー機能は付いていないのだが
     この着ぐるみでは完全再現している!
     コルト、外すのを手伝ってやれ…」
コルト「わかったわかった…」
ガチャ…
コルト「…って重! ちょっと待て、重すぎるだろ!
    こんなの着てたのかよ…」
ただの緑ガンダム「おうよぉぉ!! オレのつらさがわかったかぁぁぁ!!」
パメラ「アーマーを外してもまだ重そうですね…」
ブラッド「だがいくらか楽にはなったはずだ!
     さぁ、さっそく蕎麦を投入し、箸で混ぜつつ茹で上げるのだ…」
緑ガンダム「わかったぜぇぇ!! そりゃぁぁぁ!!」
ブラッド「ククク、自らの指が使えるだけあって
     この行程もなかなかスムーズだな…」

〜中略〜
緑ガンダム「う…うぁぁぁッ! あちぃぃぃ!!
      指がぁぁ、ゆぅぅびぃぃがぁぁぁ〜!!」
ブラッド「な…何だ!? どうしたというのだ…」
パメラ「鉄ですから…火の近くで作業を続けたので熱を持ってしまったのでは?」
ブラッド「なるほどな…」
緑ガンダム「あちぃぃぃ!! しぬぅぅぅ!!」
ブラッド「待てゴミが、持ち場を離れることは許さん!」
パメラ「待ってください、今触ると…」
ジュウ…
ブラッド「ぬお! な…何という熱さだ!
     こうも熱くなるものか…?」
緑ガンダム「うぁぁぁ!! もう無理だぁぁぁ!!」
ブラッド「…ええい、もういい!
     残りの作業はワタシがやってやる、キサマは装甲を冷やすことに専念しろ!」
緑ガンダム「くぅあぁぁぁりょぉぉかいだぁぁぁ!!」



〜中略〜
ブラッド「さぁ、蕎麦は完成した! 早速食すとするか…」
コルト「肝心なとこ略し過ぎだよ…」
ブラッド「フン、なんやかんやで時間が押しているのでな…」
ドク「ヒャアッハッハー!! メシだメシだぁぁぁ!!」
ブラッド「……待て、何故着ぐるみを脱いだ!?
     キサマは今はガンダムではないのか…」
ドク「うるせぇぇぇ!! あんなマスク付けてちゃ何も食えねぇぇよぉぉぉ!!」
ブラッド「ク、それもそうだな…」
パメラ「…結局、ほとんどブラッドさんが調理してしまいましたね…」
ブラッド「フン、所詮着ぐるみに調理など不可能だったな……
     まぁ、つまり……料理する際の服装には気をつけろということだな…」
コルト「どーいう結論だよ!?」
ブラッド「そもそも冷静に考えれば……マスコットキャラなど別に必要無かったな…」
コルト「何自分のやったこと全否定してんだよ…」
ドク「なんでもいいけどぉ、さっさと食っちまおぉぉぜぇぇ!!」
ブラッド「そうするか……パメラ! つゆと薬味の準備をするぞ…」
パメラ「はい!」

〜中略〜
コルト「食事もカットかよ…」
ブラッド「さぁ、食事も終わりマスコットも不要と結論が出た!
     そろそろ締めるとするか…」
パメラ「待ってください、せっかくの新年最初の放送なので
    新年の抱負でも聞かせていただけませんか?」
ブラッド「抱負だと…?
     …何だ、ラにでも聞けと言われたのか?」
パメラ「いえ、ゼノン艦長に…」
ブラッド「艦長命令というわけか…… 抱負な…
     敢えて言うとすれば…今年こそ大悪を為す!
     少なくとも……今年こそは、リコルのようなゴミに実は善人なのではないか
     などという不名誉な噂を流されんようにせんとな…
     ともかく今年の抱負は「大悪を為す」だ! …これでいいか?」
パメラ「あ、ありがとうございます。
    ドクさんとコルトさんは何かありますか?」
ドク「おぉ、オレかぁぁぁ!?
   オレ様はなぁぁぁ、そぉうだなぁぁぁ…
   …とにかく頑張るぅぅぅ!!」
コルト「オレは「新作に出る」だよ…」
ブラッド「な…何だキサマらそのテキトーな抱負は…
     真面目に考えたワタシが馬鹿のようではないか…」
ドク「気にすんなってぇぇぇ!!
   そんじゃ締めるぜぇぇぇ!! 今年もよろしくぅぅぅ!!
   まぁた見ぃぃてくぅぅれよぉぉぉ!!」
パメラ(私の役目が…)
ブラッド「新年一発目からこの有様か……」