第三十六回【ガチ料理!! 二度目のクリスマス!!】
料理:ローストターキー
助手:トリッシュ・ベネット



〜整備デッキ〜
ニードル「あー、整備とかマジだりィ…年末だってのによォ!」
ミンミ「軍のお仕事に、年末も年始もないのであります!
    我々整備班は、常に与えられた軍務を全うするだけであります!」
ニードル「あー面倒臭ェ…んでハラも減ってきやがったぜェ。
     おいミンミ、ちょっとひとっ走りしてパン買って来いや!」
ミンミ「申し訳ありません、自分は今手が離せない状況であります!」
ニードル「んだとォ? オレに歯向かおうたァいい度胸じゃねぇかッ!
     オレが行けっつったらさっさと行きやがれェ!」
ミンミ「しかし…」
????「ちょっとそこのアンタ! 自分のことは自分でやりな!
     子供にやらせてんじゃないよ!」
ミンミ「あれ、貴官は…?」
ニードル「あァ? 誰だテメェは? オレに指図しよーってかァ?
     うざってェ! 消えちまえよッ! …こらミンミ、さっさと買ってきやがれ!」
ミンミ「でありますから、自分は今忙しく…」
ニードル「知るかッ! さっさと…」
????「…全く、アンタみたいのは一回痛い目見なきゃわかんないみたいだね。」
ニードル「…ヒャヒャヒャ、言ってくれんじゃねぇかァ!
     おい、女ァ! ちょっとこっち来やがれ、ギタギタにしてやっからよォ! ヒャヒャヒャヒャ!!」
????「アタシに喧嘩を売るとは…上等だ! やってやるよ!」

〜中略〜
ニードル「ギ…ギタギタのメッタメタにされちまったァ…」
ミンミ「だ、大丈夫でありますか!?」
????「そんなヤツほっときな。いい薬ってヤツだよ…」
ミンミ「しかし…
    そ、それより…お初にお目にかかります! ミンミ・スミスという者であります!」
????「ミンミ? あぁ、パメラからよく聞いてるよ。
     アタシはトリッシュ・ベネットってんだ。」
ミンミ「貴官がトリッシュさんでありますか!? お噂はかねがね…」
シャノン「…ん、何だトリッシュじゃないか。」
トリッシュ「あ、シャノン姉! どうしてここに?」
シャノン「なんだか面倒なとこに回されちまってねぇ…」
グニュ
ニードル「ギャァァ!!」
ミンミ「ふ、踏んでいるであります!」
トリッシュ「シャノン姉、ソイツ踏んじゃってるよ!」
シャノン「アタシの歩く所で寝てるヤツが悪いんだよ…
     …で、アンタは?」
トリッシュ「あぁ、なんか艦内番組だかってのの
      助手だか何だかやってくれって言われて来たんだけどねぇ。」
ミンミ「あ、ブラッド先生のお料理教室でありますね!」
トリッシュ「あぁ、確かそんな名前だったね。」
シャノン「…何だ、お前もか。
     じゃあ話は早いね。アタシはあそこのカメラマンやらされてるんだけどさ」
トリッシュ「え、シャノン姉も関わってるのかい!?」
シャノン「まぁね…
     …これから収録なんだが、とにかくダルくてねぇ…
     傷も疼くし…今日だけ、代わってくれないか?」
トリッシュ「代わるって…カメラマン役をかい?」
シャノン「そうだよ…… 一つ貸しにしといていいから、適当にやっといてくれ。」
トリッシュ「…わかった、アタシに任せてシャノン姉は体を休めときな!」



〜中略、調理室〜
ブラッド「……シャノン・マシアスはまだ来んのか…」
カル「あ、あと少しで来ると思いますから、ここは我慢を…」
ブラッド「フン…二度の収録で二度も遅刻をしてくる等、前代未聞だぞ……」
プシュー(ドアの開く音)
トリッシュ「ここかい? 調理室ってのは!」
カル「あれ、トリッシュさん! どうしてここに?」
トリッシュ「仕事だよ仕事!」
ブラッド「トリッシュ…? そうか、キサマがゼノンから送られた今回の助手というわけか……
     ……ところで、シャノンを知らんか?
     どうせキサマの知り合いだろう…」
トリッシュ「あぁ、シャノン姉なら今日は休むってさ。」
ブラッド「休む…だと!? バカな…」
トリッシュ「でも安心しな、今日はアタシがシャノン姉の代わりにカメラマン役もやるからさ。」
ブラッド「それはワタシが決めることなのだがな……」
カル「相変わらずマイペースですね、シャノンさん…」
トリッシュ「シャノン姉は戦闘以外じゃずっとあの調子だからねぇ。」
ブラッド「……まぁいい、ともかく料理教室だな…
     …その前に一つ聞いておこう、キサマ射撃値は高い方か?」
トリッシュ「そうだけど…何でそんなこと?」
ブラッド「いや、シャノン以前のカメラマン担当は射撃重視の人間が多かったからな…」
カル「トリッシュさんは射撃の名手ですよ。」
ブラッド「…成る程な。シャノンよりはまだ、カメラ担当に向いてるかもしれんな…」
トリッシュ「まぁ、カメラの方はアタシに任せておきな。」
カル「それはともかく、ブラッドさん…」
ブラッド「…何だ?」
カル「トリッシュさんがカメラ担当って事は、料理はまたオレが…?」
ブラッド「……そうなるな。」
カル(またか…)
トリッシュ「まぁ気楽にやりなって!」
カル「はい…」
ブラッド「あまり気楽にやられても困るがな…
     それはともかく、今日はクリスマスも近いという事で…それに関連した料理を紹介させてもらおう…!」
トリッシュ「クリスマスに関連した料理? じゃあケーキでも作るってのかい?」
ブラッド「いや…クリスマスケーキでは昨年酷い目に遭ったからな…
     大体、去年と同じものを料理したとて意味が無い……今年はターキーでいくぞ!
     それもローストターキーだ…」
カル「ターキーというと、七面鳥ですね。」
トリッシュ「へぇ、結構豪華なモンを作るんじゃないか!」
ブラッド「クククク…… こういう機会でも無いと作れんものだからな…
     では早速調理開始だ! さぁ、どう料理して欲しい!?」



『ローストターキー』材料紹介
・ターキー
・水
・塩
・溶かしバター
・チキンブロス(鶏肉のだし)

(スタッフィング(詰め物))
・バター
・玉葱
・セロリ
・マッシュルーム
・セージ、タイム(ハーブの一種)
・1cm角に切ったパン(今回はフランスパン)
・塩、胡椒
・チキンブロス(鶏肉のだし)

ブラッド「…まぁ基本としてはこんな所か。
     あくまで基本的なものだ、腕に覚えのある者は多少のアレンジを加えてもいいだろう…」
カル「うわ、材料からしてかなりの数ですね…」
ブラッド「クククク…今回は、多少難易度が高いかもしれんな…」
トリッシュ「アタシとしちゃ、撮りがいがありそうだけどね!」
ブラッド「では…まずは下準備だ!
     まずは……水に塩を溶かし塩水とし、そこに解凍したターキーを浸し冷蔵庫で一晩冷やす…
     …これは、久々に予めやっておいた!」
トリッシュ「一晩もかかるのかい!? 大変だねぇ…」
ブラッド「料理というものはそういう側面も持つものだ…」
カル「あの、どうして塩水に浸すんですか?」
ブラッド「いい質問だ……
     塩水に浸す事により、ターキーの肉が柔らかくなり…その上下味も付くのだ……
     …塩の分量は、1リットルあたり大匙五杯程度の塩を目安に計るがいい…
     漬け込み終われば、ターキーを塩水から取り出しキッチンタオルなどで拭きとり
     そのまま室温で戻すといいだろう…」
トリッシュ「それで、カルには何をさせるのさ?」
ブラッド「まぁ待て…
     …クロサワ、キサマにはスタッフィング……つまり、詰め物の調理を行ってもらう!」
カル「詰め物、ですか…やってみます!」
ブラッド「ククク、その意気だ…
     まずは玉葱とセロリを微塵切りにし、マッシュルームはスライスしておけ……
     ……そして予め1cm角程度に切っておいたパンだが、これはトースターで…香ばしくなるまで焼くがいい。
     その間にフライパンにバターを入れ中火で溶かし…先程切った玉葱、セロリ、マッシュルームを入れ
     水分が飛ぶまで、よくソテーするのだ…」
カル「はい、やってやります!」
ブラッド「補足しておこう……チキンブロスを加えて一回沸騰させてから、火を止めるのだ。
     そしてパン、セージ、タイム等を加え全体が馴染むようにかき混ぜるがいい……
     必要であれば、塩胡椒を追加するのもいいだろう!」
 

〜中略〜
トリッシュ「なんだカル、アンタ結構上手いじゃないか。」
カル「シミュレーターの成果でしょうか、ははは…」
ブラッド「無駄話をしている間に次の行程だ……次はいよいよターキーにスタッフィングを詰める!
     スタッフィングは、ターキーの背部を切り開きそこから詰めるのだ……
     ……そして、調理用タコ糸を使いターキーの形を整える!
     手羽は下に入れ込み先をタコ糸で縛り、モモは先をしばり尻の上で組み合わせるのだ…
     …この際、スタッフィングは見えていても何の問題も無い、後でパセリ等でいくらでも隠せるからな…」
カル「はぁ…(何だか、難しそうだな…)」
トリッシュ「そんな大変そうなの、カルにできるのかい?」
ブラッド「フン、安心しろ……この行程だけはやっておいてやる! 有り難く思え…」
カル「あ、ありがとうございます!」
ブラッド「…ワタシがこれらの行程を行っている間、キサマはオーブンを180度程度に余熱しておけ…」
〜中略〜
ブラッド「そして、それらの行程の終わったターキーには……
     全体に溶かしバターを塗った後、アルミホイルを被せ…余熱したオーブンに入れ、いよいよ焼きにかかる!
     そして、焼き始めて50分程度経てば…アルミホイルを外しさらに溶かしバターを塗り
     再度オーブンに入れ焦げ目を付けていくのだ…」
トリッシュ「結構長い間焼くもんだねぇ…」
ブラッド「スタッフィングとターキーを別に焼く、という方式をとれば時間は短縮できるが…
     …それでは若干、質が落ちるのでな……
     そして焼けるのを待つ間に…ソース作りも同時進行で行う!
     今回は普通の「グレービーソース」と甘味の「クランベリーソース」の二種類を作るぞ…」
トリッシュ「甘味? 鶏肉に甘いソースなんて、合うとは思えないけどねぇ…」
ブラッド「好みの問題ではあるが、不思議と合うものだ…
     さぁ、ここでソースの材料紹介だ!」

『グレービーソース』
・玉ねぎ
・小麦粉
・肉汁
・塩  
・コンソメ顆粒  
・オリーブオイル
・肉汁(ターキーから出たものを予めとっておくこと)
『クランベリーソース』
・クランベリー
・砂糖
・水

ブラッド「まずはグレービーソースからだ…
     まずは鍋にオリーブオイルを入れ、「くし型」に切った玉ねぎをあめ色になるまで炒め、小麦粉を加える…
     ……そして、そこでとっておいた肉汁を加え、とろみが付くまで火にかけるのだ!
     後はコンソメ顆粒と塩を加えてミキサーにかければ、完成というわけだ……」
カル「へぇ…」
ブラッド「そちらは今説明したとおりだ、しっかりと作り上げておけ…
     …そして同時に、次はクランベリーソース作りを行う! こちらはワタシが行おう…
     まずはクランベリーを洗い、質の悪いものを取り除いた後……
     …鍋にクランベリー、水、砂糖等を入れ沸騰させるのだ…
     蓋をし……約三十分程度煮れば十分だろう…」
トリッシュ「また随分煮るんだねぇ。」
ブラッド「ターキーとは、とにかく時間のかかる料理なのだ…
     ……ターキー自体が焼きあがれば、後はターキーを皿に置き
     上手い具合に盛り付ければ完成だ……!!」



〜中略、食事タイム〜
カル「ちょっと切り分けが大変ですけど、これは美味しいですね!」
トリッシュ「甘いソースとも結構合うもんだねぇ。意外だよ。」
ブラッド「クククク…意外な組み合わせが、予想だにしないほどの同調をもたらす事もある…
     …それが料理というものの奥深さだ…」
トリッシュ「本当に美味いよこれ。
      でも三人じゃ食べきれないよね?」
ブラッド「まあな… 何、心配せずとも後でドクかニードル辺りに後始末をさせる…」
トリッシュ「そんな事しなくたって大丈夫だよ! これ、持ってきたからさ!」
ブラッド「フン、何を持参したというのだ…?」
カル「それ、タッパーですか?」
トリッシュ「そうそう! シャノン姉に余ったら持って来いって頼まれてんだよねー。」
ブラッド「あのな……
     せっかくの記念日用料理回だと言うのに…貧乏臭い事はやめてくれぬかな…?」
トリッシュ「固い事言いなさんなって!」
カル「トリッシュさん、タッパーに余りがあるなら他のみんなの分も持って行きましょう!」
トリッシュ「お、いいねぇ! ギルバートのおっさんの分も持ってってやんないとね。」
カル「いっぱい食べそうだから、多めに持っていかないといけませんね…」
ブラッド「……せっかくだからソースも持っていけ、専用タッパーも貸しておいてやる…」
トリッシュ「いいのかい?
      へぇ、アンタって顔に似合わず結構面倒見いいとこあるんだね。」
ブラッド「ほざけ……
     ……キサマら、ゴミどもに料理を持って行く準備をするのもいいが…
     そろそろ番組を締めたいのだがな。」
カル「はい、じゃあ締めておきますね!
   今回はこの辺で!」

〜その頃、整備デッキ〜
バイス「ライル〜♪ ニードル知らね?♪」
ライル「ニードルさんですか?
    あの人ならついさっきまでミンミちゃんと一緒に整備をしてたハズでしたが…」
バイス「アイツがマジメに整備なんざやってたのかね〜♪
    ったくどこ行ったんだか♪」
グニュ
バイス「あら、なんか踏んじまったか♪」
ニードル「ぐふゥ…」
ライル「ば、バイスさんそれニードルさんですよ!」
バイス「お、マジだ♪ な〜に寝てんだこんなとこで♪」
ニードル「もうヤだこんな部隊ェ…」