いきなり番外編【必死! ミンミのダイエット大作戦!?】



〜調理室〜
ブラッド「…………」
ジュナス「…………」
ドク「…………」
ブラッド「…………」
ジュナス「…………」
ドク「…うぁぁ……ぁぁ…」
ブラッド「…………」
ジュナス「…あの、ブラッドさん。」
ブラッド「……何だ?」
ジュナス「いつもこうやって、芋の皮むきなんてやっているんですか?」
ブラッド「いつもというわけでは無いがな……
     今夜の晩餐には、全員分にポテトサラダを付けるのだ…… まずは皮をむかねば話にもなるまい?」
ジュナス「なるほど…」
ブラッド「まぁ……戦争をしているのだ。
     たまにはな…こういう事も気が和むぞ…」
ジュナス「そうですか…」
ブラッド「キサマはアシスタントになったのだ、これからはこういった事も手伝ってもらうぞ…ククク!
     ……しかし、キサマ…中々手際が良いようだな。」
ジュナス「よく手伝わされていたんですよ、ブラッドさんがいない時とかに、調理室で…」
ブラッド「成る程な……」
ジュナス「でもブラッドさん。この芋、全部皮をむくんですか?
     ものすごい数ですけど…」
ブラッド「いや……そうではない。
     実はな…今回はここ、調理室にて匿名の呼び出しがあったのだ。このワタシにな…
     実際のところ皮むきなどは…… 呼び出した相手が来るまでの、時間つぶしに過ぎん……」
ジュナス「そうだったんですか。誰だろう、ブラッドさんを呼び出したのって…」
ブラッド「NTのキサマにもわからんか……
     …まぁともかく、そのゴミが来るまでは皮むきだ…」
ジュナス「はい!」
ドク「…う、うぁぁぁッ!! 飽ぁぁきたぁぁぁ!!」
ブラッド「黙ってむけ、ゴミが……」
プシュー(ドアの開く音)
ミンミ「おはようございますであります!」
ドク「おぉぉぉ!! ミンミじゃねぇぇかよぉぉぉ!!
   おはよぉぉぉでありまぁぁぁすぅ!!」
ジュナス「どうしたの?」
ミンミ「はい、実は…」
ブラッド「いい所へ来たな……キサマも皮むきを手伝ってもらえぬかな?」
ミンミ「了解であります!」

〜一時間後〜
ドク「ぬぅおぉぉぁぁぁッ!! 疲れたぁぁぁ!!」
ジュナス「全部、むいてしまいましたね。」
ブラッド「フン… 人手が増えたとはいえ、こうも短時間に終えてしまうとはな…」
ドク「ミィィンミのおかげだなぁぁぁぁ!!」
ミンミ「そんなことはないのであります!
    皆で力を合わせたからこそ、できたことであります!!」
ジュナス「そうだね。
     …ところでブラッドさん、僕は用事があるので、そろそろ戻ってもいいですか?」
ドク「あぁぁそうだぁぁぁ!! オレも用事あるぅぅぅ!!」
ブラッド「……用事だと? 何だというのだ…」
ジュナス「はい、あともう少しで出撃なので…」
ドク「オレもぉぉぉ!!」
ブラッド「……そういう事は先に言っておいて欲しいものだな、ゴミどもが…
     好きにしろ、軍務が優先だ…」
ジュナス「ありがとうございます! それでは…」
ドク「おっつかぁぁれさぁぁん!!」



ブラッド「ええい…… やはり、新作登場組に番組スタッフをやらせるというのは…
     …多少、無理があるのかもしれんな…」
ミンミ「そうでありますねぇ…」
ブラッド「……キサマも帰っていいのだぞ? いや、むしろ帰ってもらいたいな…
     キサマが何の用で来たかは知らんが、ワタシはここで呼び出しを受けている身でな……」
ミンミ「その件でありますが…
    実は、ブラッドさんを呼び出したのは自分であります!」
ブラッド「そうか……
     …………
     ……何だと!? キサマが…!?」
ミンミ「そうであります!!」
ブラッド「バ、バカな……ワタシはな、上の者がワタシだけに、極秘の任務を与えに来たと期待していたというのに…
     …まさかキサマとはな。
     キサマ……何故、先程入室した際にそれを伝えなかった…
     挨拶しに来ただけかと思って、芋の皮むき要因として扱ってしまったが…」
ミンミ「上官の命令は、何より絶対であります!
    手伝えと命令されれば、言われた通りにするだけなのであります!」
ブラッド「フン……上官、か。 階級制度などは、我が軍ではかなり以前から廃止されているのだがな…
     …まぁいい。しかし生真面目な事だな…」
ミンミ「そんな事はないのであります! お芋の皮むきとて、立派な軍務の一つ!
    軍人として、当然の勤めであります!!」
ブラッド「……なんでもいいがな、結局何の用があって、このワタシを呼び出したというのだ…
     下らん理由だったら怒るぞ……」
ミンミ「下らない理由なんかではないのであります! ともかく、自分の話を聞いてほしいのであります…」
ブラッド「フン……言ってみるがいい。」
ミンミ「了解であります! 話は、一昨日まで遡るであります……」

〜一昨日、整備ドックにて〜
ミンミ「ライルさん! 担当MSの保守点検及び整備、完了であります!」
ライル「ご苦労様。
    いやぁ、いつまでもケイさん一人に整備を任せるわけにはいかないからねェ。
    ウォーズに出れてないとはいえ、僕達もできることはやらないとね…」
ミンミ「その通りであります!! 自分はライルさんのそういう姿勢に、憧れるのであります!」
ライル「憧れるなら、他にもっといい人がいるって…
    …それにしても、今日もニードルさんは手伝ってくれなかったなぁ。一応約束したんだけどね。
    一人でも多いとまるで違うんだけど…」
ミンミ「そうでありますねぇ…
    ニードルさんもあれほどの整備技術があるなら、それを皆の為に役立てた方がいいのであります!」
ライル「そうなんだけどねェ…本人にやる気があんまり無いみたいだからなぁ。
    …ミンミちゃん、良かったらでいいんだけどさ… ニードルさんに一言、言ってあげてくれないかな?
    たまにでいいから、手伝って欲しいってさ…」
ミンミ「了解であります!!」

〜その後〜
ニードル「ケッ、オレに整備手伝えってかァ?」
ミンミ「そ、そうであります…約束をやぶるのは、いけないのでありま」
ニードル「うるせえッ!! ガキのクセにえっらそーな事言いやがってッ!
     大体なァ、約束なんてのはなァ…破る為にあるんだよ!! ヒャヒャヒャヒャ!!」
ミンミ「そんな事は許されないのであります!!
    とにかく、明日からは整備班に加わっていただきたく」
ニードル「うざってェーんだよ!! オレは気が向いた時しか手伝ってやらねェからなァ!」
ミンミ「それではいけないのであります、我々の整備を待っている機体がいっぱいあるのでありますよ!?」
ニードル「あー…ウゼェなテメェはッ!! オレはよォ、空気呼ばわりされて機嫌が悪ィんだよ!!
     …明日は手伝ってやるよ、それで満足かよ? あァ!?」
ミンミ「あ…ありがとうございますであります!」
ニードル「…ったく、ありますありますうっせェーガキだなァ!
     わかったらさっさと消えやがれ、このチビ!!」
ミンミ「じ…自分は、チビではないのであります!!」
ニードル「あァ? 間違ったかァ? そりゃすまなかったなァ!
     じゃあ言いなおしてやるよッ! さっさと消えろよ、チビデブ!!」
ミンミ「な……」
ニードル「ヒャッヒャヒャヒャヒャ!!」



……
ミンミ「……ということが、あったのであります…」
ブラッド「………それがどうした?」
ミンミ「それに関わることで、どうしてもブラッドさんにお聞きしたいことがあるのであります!
    ブラッドさんはいつも料理してものを食べている印象がありますが…
    …どうしてそんなに食べているのに、そんなにやせているのでありますか!?
    ダイエットの秘訣でもあるなら教えて欲しいであります!!」
ブラッド「……それを聞き出すのが…今回呼び出した理由かね…?
     く…下らん……下らんぞ、ミンミ・スミス……」
ミンミ「くだらなくなんて、ないのであります!!
    大事な問題なのであります…
    自分はあんな事を言われて…悔しいのであります! 見返してやりたいでありますっ!!」
ブラッド「知らん……何故ワタシがそんなことに協力せねばならんのだ……」
ミンミ「一生のお願いであります! 秘訣を伝授して欲しいのであります!」
ブラッド「フン……いいかよく聞け、そんなものに秘訣などという…都合のいいものなど存在せんッ!」
ミンミ「えぇ!? ではなぜブラッドさんは!?」
ブラッド「……フン、ワタシは量は喰わんからな…質のいいものを適量で済ませるように気をつけている!
     それだけだ……」
ミンミ「それだけ、で…ありますか…?」
ブラッド「そうだ…… 他の要因は本人の体質と、生活習慣くらいなものだな…
     …特に良くないのは、栄養の偏った食事と喰う時間だ!」
ミンミ「ふむふむ…」
ブラッド「…特にジャンクフードを深夜に喰うようなゴミもいるが…あれが特に良くない!
     これを定期的に行うようなゴミは…たとえばドクのようにハゲたり、ライルのように肥えたり…バイスのように頭のネジが
     外れるようなこととなる!
     ……まぁ、キサマの場合は深夜まで起きていること自体が少ないだろうが……
     …ともかく、まともな食生活さえしていれば太ることなど有り得ん! 有り得んのだ!」
ミンミ「そうでありますか……しかし自分は、そのような乱れた食生活をしているつもりは…」
ブラッド「大体な……… キサマの年で、体重などを気にするというのが…そもそもバカげた話だ!
     成長期に満足な栄養をとらんゴミは背も伸びん、体力もつかん…
     …一人前の兵士になどなれんぞ?」
ミンミ「でも、もうチビだデブだとバカにされるのには…もう耐えられないのであります!!
    つらいのであります…」
ブラッド「……まずだ、キサマがデブだなどと言われるのが、ワタシには理解できんがな…
     ライルならともかく…
     …そもそも、ニードルなどの言う事をいちいち真に受けるヤツがゴミだ!
     ヤツにとってはあの程度の悪態は挨拶のようなものだぞ……」
ミンミ「しかし、みんな言わないだけで…本当はニードルさんのように思っているのであります!
    ミンミはチビでしかもデブで、可愛げが無いって…」
ブラッド「なんだキサマ……可愛がられたいのか?」
ミンミ「…ここだけの話、でありますが…その通りであります!」
ブラッド「ゴミが……子供の分際で色気づきおって…」
ミンミ「…それに、ニードルさんに言われただけではないのであります!
    昨日、こんなこともあったのであります……」

〜昨日の整備ドック〜
バイス「お〜ケイちゃん整備頑張ってんじゃねぇの♪
    ど〜だい♪ 仕事なんか忘れてたまにはオレ様とデートでもしよ〜ぜ♪
    そんな仕事ほっぽりだしちゃってさ〜♪」
ゴス!
バイス「いた♪ スパナで殴ったね♪」
ケイ「アタシをナンパしようなんて1000年はやいんだよ!
   そんなにヒマなら整備でも手伝ったらどうなのさ!」
バイス「そこまでヒマじゃね〜や♪
    ったく、つまんね〜な〜♪ …お♪ ミンミちゃんじゃね〜か♪」
ミンミ「あ、バイスさんお久しぶりであります!」
バイス「…そ〜だな♪ ま、アンタも頑張りな♪」
ミンミ「はい! 頑張るであります!」
ニードル「オイ、バイス! ミンミはナンパしねェのかァ!?」
バイス「おいお〜い♪ 流石のオレ様も、そこまで餓えちゃいね〜っての♪」
ニードル「そりゃそうだッ! ヒャッヒャヒャヒャヒャ!!」

……
ミンミ「あの…女性であれば誰にでも声をかけるバイスさんにすら、女として見てすらもらえなかったのであります!」
ブラッド「リコルやパメラにすら手を出そうとした、あのバイスがか……」
ミンミ「そうであります……切ないのであります!」
ブラッド「だからな、ニードルやバイスのようなゴミのこと等一々気にするなと…
     ……大体だ、キサマは具体的に…どうなりたいというのだ?」
ミンミ「そうでありますねぇ…
    …自分は、ケイさんやジェシカさんのような体に、憧れているのであります!」
ブラッド「諦めろとしか言いようが無いな…」
ミンミ「そ、そんなハズはないのであります!!
    アキラさんも言っていたのであります、諦めずに努力していれば…いつの日か必ず願いは叶うと!」
ブラッド「ホンゴウめ、また余計な事を……」
ミンミ「…自分は根性だけならエース級であります!! 努力なら誰にも負けないのであります!!」
ブラッド「知らんが……
     ともかく、ワタシに言えるのは先程言った、生活習慣の話くらいのものだ。」
ミンミ「そうでありますかぁ…」
ブラッド「そもそも……そもそもだ!
     キサマはな、そもそもホンゴウなどと仲がいいような…「正義」を崇拝する側の人間だろうが!
     正義を志す者が、ワタシのような悪に頼るな……ヒントはくれてやった、自分自身で答えを見つけ出すのだな…」
ミンミ「…了解であります!」



〜数日後、調理室〜
ブラッド「…………」
ジュナス「…………」
ドク「ヒャアーハッハァー!! 斬るぅぅ斬るぅぅぅ!!
   斬って斬ってぇ、斬りまくるぅぅぅ!!」
ブラッド「…………」
ジュナス「…………」
ドク「ハーァハッハ!! ズタズタにしてやるぅぅぅ!!」
ジュナス「…ブラッドさん、キャベツの千切りも僕達の仕事なんですか?」
ブラッド「そうだ……晩までにある程度まで切り刻まねばならん…
     ……だが、全部を千切りにはするなよ。あくまで半分だ…」
ジュナス「任せてください!」
ブラッド「クククク…流石に格闘値が高いだけあって、包丁を使った作業は得意なようだな……」
ジュナス「格闘値はあんまり関係ないと思いますけど…こういうのは、嫌いじゃないですね。」
ブラッド「そうか……キサマは将来、いい主夫になるかもしれんな……」
プシュー(ドアの開く音)
ケイ「ブラッドはいるかい!?」
ジュナス「あ、ケイさん! どうしたんですか?」
ケイ「どうもこうもないよ…
   ブラッド! アンタ、ミンミに何か余計な事言わなかった?」
ブラッド「何だいきなり…
     ……ヤツがどうしたと言うのだ?」
ケイ「ミンミったらね…最近、メシをちゃんと食べてないみたいなんだよ。
   何でかって聞いたら、ブラッドさんがどうとか言ってさ…」
ブラッド「ええい、あのゴミが…… 短絡的な行動に走ったな…」
ケイ「どういうことさ?」
ブラッド「後で説明してやる……
     …ジュナス、ドク! 調理室の留守を守っていろ、少し出かけてくる…」

〜中略、整備ドック〜
ブラッド「……ミンミ・スミスはいるかッ!?」
ミンミ「あ、はい! ここであります!!」
ブラッド「キサマ…… 食事をとっていないそうだな?
     …前に言っただろう、食事をとらねば一人前の兵士になどなれんとな!」
ミンミ「い、いえ…ちゃんと、食べているのでありますよ!
    このリンゴを、毎食一個食べているのであります!!」
ブラッド「何ィ…リンゴダイエットだと? 時代遅れな……」
ミンミ「牛乳も、飲んでいるであります…」
ブラッド「全く無駄な足掻きだ…
     そんな生活を続けていれば腹を、いや体を壊すぞ……みっともない悪足掻きはよすんだな!」
ミンミ「し、しかし…」
ケイ「なぁミンミ。やせたい気持ちはわからなくもないけどさ、メシ喰わないと力出ないだろ?
   リンゴだけじゃダメだって。」
ミンミ「ケ、ケイさんには……自分の気持ちは、わからないのであります!」
ケイ「え? どういうことだよ…?」
ブラッド「…まぁ、人間は手に入らないものほど、欲したがるということだ…」
ケイ「…なんかよくわかんないけどさ、ミンミは無理に痩せようとすることなんか無いって!
   そのままのミンミが一番可愛いんだからさ!」
ミンミ「…そう思っているのは、ケイさんだけなのであります…」
ケイ「んなことないって!」



ニードル「ヒャヒャヒャヒャ、何やってんだブラッドォ!」
ブラッド「ニードルか…… また面倒なタイミングで現れおって…」
ニードル「お、何だミンミじゃねぇかァ!
     …何だその目はァ! ケンカ売ってんのかッ!?」
ミンミ「………」
ケイ「ちょっとニードル! まさかアンタがミンミに余計なこと言ったんじゃないだろうね!?」
ニードル「あァ? 何にも言っちゃいねぇよッ!
     そーだよなミンミッ!?」
ミンミ「…嘘でありますッ! ニードルさんは、自分にひどいことを言ったであります!」
ケイ「本当かい!?」
ニードル「…ケッ、あーそうだよォ!
     デブにデブっつって何が悪ィんだよッ! ヒャヒャヒャ」
ガン!
ニードル「いてェ!! テメェ、レンチで殴りやがったなァ!」
ケイ「アンタが悪いんだよ! ミンミに謝りな!」
ニードル「うっせーよッ! なんでオレが」
ミンミ「…謝る必要はないのであります。
    自分が、ダイエットに成功すれば、もうデブだなんて言われる事も無いのでありますから…」
ニードル「ハァ…?」
ケイ「ミンミはね…アンタの所為で、メシを食べなくなっちゃったんだよ!」
ニードル「メシを喰わねェ? ケッ、バカなことはじめやがったモンだなァ!」
ミンミ「バカなことではないのであります…
    自分はこれを機に、生まれ変わるのであります! 機会をくれたニードルさんには、むしろ感謝しているであります…」
ニードル「ケッ…くだらねぇ! ホンットにバカだなテメェは!
     つきあってらんねーぜェ… おいブラッド! こんなヤツほっとこうぜェ!!
     ……っていねぇじゃねぇかッ!?」
ケイ「アイツ、こんな時にどこ行ったんだよ…」
ニードル「ま、どーでもいいけどなァ。オレは帰るぜェ!!」
ケイ「待ちな! ミンミに謝るまで帰らせないからね!」
ミンミ「ケイさん、もういいのであります…」
ケイ「だってアイツ…」
ミンミ「いいのであります!!」
ケイ「ミ、ミンミ…」

〜その夜〜
ニードル「…おいミンミィ! ちょっといいかァ!?」
ミンミ「…なんでありますか。自分はもう寝る時間であります。」
ニードル「いいからよォ…とにかく、オレの話聞いとけェ!」
ミンミ「…ニードルさんの話なんか、聞きたくないのであります!」
ニードル「ケッ…いちいちイラつくヤツだなァ!
     黙って聞けよッ! いいからよォ!」
ミンミ「…もう寝るのであります! おやすみなさいであります!!」
ニードル「な、テメェ待ちやがれッ!」
〜中略〜
ニードル「ハァ、ハァ…
     しつけェヤツだなテメェも! いい加減諦めてオレの話を聞けェ!」
ミンミ「まだまだ…自分は根性だけならエース級であります!」
ニードル「テメェなァ…オレが嫌いなのはわかったからよォ、せめて話くらいは聞けッ!
     オレの話を聞けェ! 二分だけでいいからよッ!」
ミンミ「…わかりました、聞くだけ聞いてやるのであります…」
ニードル「何で急に上からきたんだよォ… 別にいいけどな。
     とにかくよォ…テメェ、メシは喰っとけよォ。ちゃんとなァ…」
ミンミ「自分をあそこまでこきおろした、その口でそんな事が言えるのでありますか!?」
ニードル「チッ……
     悪かったよ! 謝りゃいいんだろッ! あァ!?」
ミンミ「…………」
ニードル「なんか言えよォ…
     …いや、ホントによォ。デブって言ったのは…悪かったよッ!
     そんなに気にしてるなんて思わなくってよォ…」
ミンミ「…………」
ニードル「…アレだよアレ、ブラッドとかよくゴミ扱いしてくるだろ!?
     アレと同じノリだったんだよ、ドクにハゲって言うのと同じくれェの軽いノリでよォ!」
ミンミ「……ドクさんも、多分傷ついていると思うであります。」
ニードル「アイツはそんなタマじゃねぇってッ!
     …なんでもいいけどなァ。オレはテメェみてぇなガキが、ハラ空かして我慢してるのを見るとよォ…
     ムショーにハラが立って仕方がねぇんだよッ!
     オレのガキの頃思い出してなァ…」
ミンミ「ニードルさんの、子供の頃……で、ありますか?」
ニードル「そーだよォ…あんま、言いたくねェ話なんだけどなァ。テメェにだけ教えてやるよ…
     オレの生まれた所はなァ…スラムもいいとこでよォ。
     その日のメシだって、人から奪い取らなきゃ喰えねぇような所だったんだよ!」
ミンミ「…………」
ニードル「いっつもハラ空かせて、惨めな思いしてよォ…
     せっかくメシにありつけたと思ったら、今度は大人に奪われたりしてよォ! 人生のドン底ってヤツだったぜェ…
     …今でもよォ、ハラ減ると…あん時の事思い出しちまってイラついちまう…」
ミンミ「大変だったのでありますね…」
ニードル「大変なんてモンじゃなかったぜェ! ヒャヒャヒャヒャ!!
     …まぁ、アレだ! オレがテメェに言いてぇのはなァ…
     ……なんか、上手く言えねぇけどよォ……アレだよッ!」
ミンミ「な、何が言いたいのでありますか!?」
ニードル「ガキは素直にメシ喰ってりゃいいって事だよ! 喰えるうちになァ…
     …まぁ、オレには言われたくねーかもしんねェけどよォ…
     ケイのヤツも言ってたけどよ、テメェはそのままのテメェでいろよなァ!
     他のヤツらだって、多分そのままテメェが好きなんだろーからなァ…」
ミンミ「…自分は、ニードルさんのキャラがつかめなくなってきたのであります…」
ニードル「茶化すんじゃねえッ! せっかく人がマジメに話してんのによォ!」



〜翌日〜
ケイ「あれ、ミンミ今日は朝メシちゃんと食べたんだね!」
ミンミ「…ダイエットはもう、やめたのであります!
    おなかが空いていたので、一気に平らげてしまったのであります!」
ケイ「アハハハ、その方がミンミらしいや!」
ミンミ「ちゃんとした食事をとってこそ、世界の平和と、正義のために戦えるのであります!
    そして、何より…ケイさん達も言ってくれたように、そのままの自分が一番なのであります!」
ケイ「やっとわかってくれたみたいだね。アタシの言ったことがさ。
   …でも「達」ってのはどういうことだい?」
ミンミ「それは…内緒なのであります!」

〜その頃、とある一室〜
ライル「フフフフ……」
プシュー(ドアの開く音)
ブラッド「邪魔するぞ…」
ライル「ブラッドさんやっと来ましたね…
    夜を徹してようやく完成しましたよ!! ライル・コーンズ特製、ミンミちゃん専用
    ダイエットマシーン試作一号機フルバーニアンが!!
    どうです、これで運動をすれば、無理なく、そして確実に…体脂肪を消費しダイエットをすることができるんですよ!!
    すごいでしょう! まぁ試作段階ですから、人体への疲労度などはまだ未知数な部分もありますが…」
ブラッド「……ライルよ。言い辛いことだがな…
     …とある情報が入ってな。ミンミはすでにダイエットを放棄したようだ…」
ライル「……はい?」
ブラッド「食事を取らん事の無意味さを、子供ながらに悟ったようだな、あのゴミは…」
ライル「はぁ…それは……良かったですねェ…アハハハ…」
ブラッド「…話から抜け出してまで依頼したのだがな…まさか、こんな事になるとはな…」
ライル「じゃあ、これはもう必要のないものなのですねェ…ハハハ…登録抹消かぁ…
    せっかく徹夜したのになァ…材料費もタダじゃないんだけどなァ…」
ブラッド「……まぁ待て。まだこの装置が粗大ゴミになると決まったわけではない。
     そもそも……ミンミなどより、もっとダイエットが必要な者が我が部隊にはいるのだからな…」
ライル「お、そんな人がいましたか!!
    じゃあこのマシーンはその人専用に変えましょう! 良かったなぁ、無駄にならなくて…」
ブラッド「……ライル。キサマの事だぞ…」
ライル「…え?
    アハハハ、やだなぁ…いいんですよ僕は! ダイエットなんて…」
ブラッド「黙れ! 冷静に考えれば……誰よりもキサマが痩せるべきだッ!
     クククク…本来はミンミ用にワタシが徹夜で考案した、ダイエットメニューも同時にキサマに課してやる…有難く思えッ!!」
ライル「ほ、本当にいいですよぉ! そのままの僕が一番で…」
ブラッド「五月蝿い! 黙れ! せっかく互いに夜を徹したのだ、無駄にはさせんぞ…」
ライル「そんなぁッ!!」
ブラッド「四の五の言うな! ……そしてこれがオチなのだッ!!」
ライル「ひどいオチだなぁ…」