「ナパーム太郎」
むかしむかしあるガンダムX世界に、地球連邦軍という軍隊に所属しているジェフリーおじいさんと
生物学的にはおばあさんではない、ブランドおばあさんがおりました。
ある日、ブランドおばあさんは宇宙革命軍地上侵攻部隊の討伐作戦の帰り
焼夷弾を受けた焼け跡から、一人の筋肉モリモリマッチョマンを発見しました。
ブランドおばあさんがマッチョマンに銃口を向けて
所属、階級を問いただすと、マッチョマンは全て覚えていない
覚えているのは自分の名前が「デニス」だということだけだ、と脳筋丸出しな答えを言いました。
とりあえずそのマッチョマンの筋肉と、全身に塗られた迷彩に
色んな意味で並々ならぬものを感じたブランドおばあさんは、そのマッチョマンを保護し
ジェフリーおじいさんの元へ連行し、志願兵として登録しようとしました。
しかし、志願兵登録には名前が必要です。
おじいさんとおばあさんは悩みます。
「どうするおじいさんや。『デニス』って名乗ってるんだからデニスでいいんじゃないかしらねぇ」
そのおばあさんの意見に、おじいさんは反論します。
「いや、ナパームの焼け跡から見つかったのじゃ。
名前はナパームから生まれた「ナパーム太郎」で決まりじゃよ。
フォッフォッフォ」
そのマッチョマンは二人の意見の間をとって「デニス・ナパーム」として地球連邦軍に登録され
その後、上官ゼノンによる地獄より苦しく険しい訓練を乗り越え、一流のコマンドーとなりました。
その人生哲学は「弱肉強食、それが戦場の掟」。
多くの戦友とともに戦場を駆け巡り、幾多の死体の山を築いていきました。
それも今は昔の話。
第七次宇宙戦争が終わって、十五年……A.W.0015年。
軍を引退したデニスは山に隠居し、保護したNTの少女カチュア・リィスの父親代わりとして
尚も健在なその筋肉を活かし、マタギとして生活していました。
そんなデニスの平和な生活を、突如やぶる者があらわれました。
ある日デニスが麓の町まで食料を買いに行っていた隙に、二人の住む山小屋を謎の武装組織が襲ったのです。
デニスが戻ってきた時には、既にカチュアは誘拐されていました。
デニスは、家の中でデニスを待っていたであろう
チンピラ臭丸出しのバンダナ野郎に銃を向け、言います。
「おい、これはどういう事だ!」
「ヒャヒャヒャヒャ、あのガキはオレ達が預かったぜェ!
アイツの命が惜しかったら、オレらに強力すんだなァ! OKッ!?」
「OK!」
ズドン!
哀れ、デニスの放った凶弾により下っ端のチンピラ、ニードルはこなみじんに吹き飛んでしまいました。
「カチュアを返せ!!」
デニスは叫び、そして外で自分を包囲しているであろう武装組織に向け、体一つで突撃しました。
「MSはジオニックで生まれました。
アナハイムの発明品じゃありませ…ぎゃあああ!!」
哀れ、仲間にそう語っていた太り気味のメガネの整備兵ライル君がまず〆られました。
当然、謎の武装組織の兵士達がデニスに攻撃してきます。
「向かってくるぜあのバカ♪」
最初にデニスに発砲したのは、サングラスを付けた、バスケが得意そうな黒人Mr.バイスでした。
やめてよね、マッチョのアメリカ人が主役になったらザコ兵士がかなうわけがないだろう?
デニスの鍛え上げられた大胸筋は、そう言いたげに放たれた銃弾を全て弾き返しました。
そういうものです。
バイスを筆頭とする歩兵たちは当然、唖然とします。
そんなことには構わずデニスがバイスに言います。
「気に入った、お前を殺すのは最後にしてやる」
「そ、そりゃありがて〜♪」
「あれは嘘だ」
「ギャアアアア♪」
哀れ、重武装の歩兵隊はデニスの豪腕によって全員〆られてしまいました。
しかし、歩兵隊全滅の報を受け謎の武装組織が出してきたMS「ジェニス」の小隊は
流石のデニスも生身では〆れませんでした。
ジェニスのマシンガンの弾を体に受け、流石に倒れるデニス。
死にません。そういうものです。
半昏倒状態のデニスが最後に見たのは、彼の連邦軍人時代に死んだハズの戦友…
若干生え際がキているおじさま、グレッグ・マインの顔でした。
「グレッグ! 殺されたんじゃ?」
「残念だったなぁ、トリックだよ」
「いくらもらった?」
「10万キャピタルポンとくれたぜ!」
「10万!?」
プシュ! 流石のデニスも、麻酔弾(熊用)には勝てませんでした。そういうものです。
その後、デニスは連行されたり尋問されたり
飛行機に乗せられたりしましたが色々あって脱出しました。
その辺のくだりはダルいのでカットです。
とりあえずカチュア救出の為、武器を揃えに向かいます。
「ここは歴史あるMS博物館です。くれぐれも…きゃああああ!!」
MS博物館でコンパニオンのバイトをしていたラ・ミラ・ルナさんは
突然壁を突き破り目の前にあらわれたブルドーザーを見て
悲鳴を上げて、そのまま気絶してしまいました。
それを尻目に、ブルドーザーの運転手、デニスは言います。
「買い物だ」
買い物なら仕方ないよね。
とりあえずデニスはブルドーザーから降りて展示MSを物色します。
そして展示MSの一つ、改75のMS「ガンダムレオパルド」に乗り込みましたが、中々起動しません。
「動けこのポンコツが!! 動けってんだよ!!」
ガン! デニスが計器を乱暴に殴りつけると、空気を読んだのかレオパルドは起動しました。
偉い子ですね。
「この手に限る」
デニスがそう呟くと、デニスの乗るガンダムレオパルドは
脚部のローラーキャタピラを回転させて去ろうとします。
そこで目を覚ましたラ・ミラ・ルナさんが、その地獄絵図を見て叫びます。
「ああ、何を! ああっ、ここで動かしちゃ駄目ですよ!
待って! 止まってぇ!!
それはこの博物館の所有物です、売り物ではありません!」
この人はパニックになっているのかはたまた平和ボケなのか。
そんな彼女にデニスは、レオパルドのスピーカーを通じて言い放ちます。
『いいガンダムだ。だが一番気に入ってるのは…値段だ』
「だから売り物じゃないって! やりすぎです!
あ〜もう、今日は厄日だわ!」
デニスはラさんを無視して、インナーアームガトリングで壁をさらに破壊して、その場を去っていきました。
これでは買い物ではなく強奪ですが、細かい事を気にしたら負けです。
展示品のレオパルドにキチンと弾が入っている点も謎ですが、マッチョ映画にはよくあることです。
博物館の外では、博物館の警備に雇われていた傭兵達のMS「トルネードガンダム」が待ち構えていました。
そのパイロットである傭兵達からデニスに通信が入ります。
『ククク……目標は筋肉モリモリマッチョマンのゴミだ! 片付けてやらねばな…!』
『さ〜てと……給料の分ぐらいは働かないとな!』
『今は戦うしか無いんだ…僕だって!』
三人とも雇われ派遣傭兵パイロットで、上からブラッド部長、エルンスト課長、研修生のジュナス君です。
そんなことはどうでもいいとばかりに、デニスがガンダムレオパルドのコクピットの中で吼えます。
「お前達と遊んでいる暇はない! とっとと仕留めてやる!」
それを聞くや否や、研修生のジュナス君のトルネードガンダムが先に攻撃を仕掛けます。
「甘くみるな! ここから先には…行かせないからな!!」
ドカン。
次の瞬間、彼のトルネードガンダムはガンダムレオパルドのショルダーミサイル×8を受けて爆発しました。
無茶しやがって…
『オレとしたことが何てぇザマd』
『このワタシがゴミごとk』
残りの二機もショルダーミサイル×8でテキトーにオーバーキルして先に急ぐデニスです。
そこに、無責任博物館館長ギルバート・タイラーさんの乗るMS「ディジェ」が立ちはだかりました。
『がはははッ! 元エゥーゴのオレに勝てるもんか!』
「試してみるか? オレだって元コマンドーだ!」
そしてガンダムレオパルドとディジェの激戦が始まりました。
ガンダムX世界のはずなのにディジェや元エゥーゴが出てきてしまいましたが、気にしたら〆られます。
飛び交う銃弾、ビーム、空薬莢の嵐。付近は地獄絵図と化しました。
そして激闘は意外な形で幕を閉じました。
『あんた達! いい加減にしなさぁ〜い!!』
「!!?!?!?」
職場を壊滅させられついにブチ切れたラさんが乗った展示用MS
「ガンダムベルフェゴール」がリミッターを解除させて二人のMSに襲い掛かったのです。
『こうなったらヤケよ! …そうよ、みんな消えちゃえばいいんだわ!!』
『ちょ待っ、ギブ! ギブだっつってr』
あっという間にスクラップと化したギルバートさんのディジェでした。
怒り狂ったようにベルフェゴールがディジェを粉々に粉砕している様を横目に
さっさと逃げ出したデニスはカチュアを誘拐した武装組織のいる基地に向かいます。
基地の場所などはデニスは知りませんが、軍人の野生の勘でなんとでもなります。
弾についてはマスターユニットなので勝手に回復します。
便利な世の中ですね。
敵基地に向かっているデニスのガンダムレオパルドに
モビルバクゥに乗ったハゲが話しかけてきました。
『そこのガンダムちゃぁぁぁん!! オレも仲間にしてくれよぉぉぉ〜!!』
「OK!」
ズドン! 哀れ、ドッグ・ダームは仲間にはなれませんでした。
そこに、いかにも祖国を愛してそうな軍人が、ハイゴッグに乗って参上しました。
『私とともに敵を打ち倒そう!我が祖国のために!!』
「OK!」
ズドン! エイブラム・猿・ラムザットもまた同じ運命をたどりました。
そこに最強(プロフ談)のロン毛が、フェニックスガンダムに乗って現れました。
『バックアップは任せろ!』
「OK!」
ズドン! マーク雉もまた(ry
デニスほどの筋肉モリモリマッチョマンともなるとおともなど不要です。
その頃、謎の武装組織の秘密基地である人工島「バルベルヶ島」。
旧宇宙革命軍の残党である彼らは、NTの力を研究し軍事利用する為に各地からNTをさらっていたのです。
そこでは首領、ガルン・ルーファスさんと
傭兵として雇われていたグレッグが会話していました。
「口だけは達者な若造ばかり、よくもまぁ揃えたもんですなぁ。まったくお笑いだ。
デニスがいたら奴も笑うでしょう」
「グレッグ君、この基地のレンタル兵(伍長)達は皆優秀だ」
「ただのカカシですな。俺達なら一ターンで皆殺しにできる、忘れないことだ」
「グレッグ、君は私を…脅しているのか?」
「事実を言っているだけです。
仕事を終えたらデニスはあのガキを取り返しに来ます。
子供が生きていようがいまいがそいつは…関係ない。
奴はアンタを追いかける。
あんたをデニスから守ることができるのは…俺だけです」
「怖がっているのは…私ではなく君じゃないのかグレッグ?
君こそデニスを恐れているんだ」
「もちろんです、プロですから」
どう見てもコピペです、本当にありがとうございました。
さらにその頃、デニスの軍人時代の上官ゼノン艦長率いる
新連邦の戦艦「超大型輸送機」がデニスらの家にやっと到着していました。
遅すぎですね。
その惨状(謎の武装組織の)を見た副官ニキ・テイラーさんが、ゼノンに聞きます。
「何がはじまるのです?」
「第八次宇宙戦争だ!」
ゼノンはそう答えました。
かなり早い段階でガンダムX世界という設定は破綻してますが、気にしたら〆られます。
小ネタSS集で一つのネタがこれ以上長くなってしまうとまずいので、ここからはまきます。
ガンダムレオパルドで近所のゾンダー・エプタを強襲し
アイムザット統括官らを〆て、新連邦軍の力の象徴「ガンダムDX」を奪取したデニスは
そのまま「バルベルヶ島」を強襲。
島をドンパチ賑やかにしました。
DXの圧倒的戦闘力で敵MS隊を全滅させ、抵抗する諦めのすこぶる悪いガルンをテキトーに倒して
そこにやってきた因縁のグレッグの駆るMS「ケンプファー」との最終決戦が始まりました。
「やっぱりやって来たか。流石だデニス」
そんなグレッグに対し、デニスはDXにビームサーベルを抜かせて挑発します。
「来いよグレッグ、射撃武器なんか捨ててかかってこい! 怖いのか?」
「誰がお前なんか! お前なんかこわかねぇ!
野郎ぶっ殺してやる!」
そう言って、本当に全射撃武器を捨ててサーベル一本で突撃したグレッグのケンプファーは
DXのブレストランチャーの直撃を受けて蜂の巣になって撃破されました。
「この手に限る」
デニスが呟きます。
良い子の皆は、装甲の薄いMSで無闇に接近戦を挑むのはやめましょう。
蒸気抜きの再現はガンダムでは無理だったようです。
そして無事にカチュアを救出し、DXのコクピットに収容したデニス。
そこに、ゼノンの指揮する超大型輸送機が到着しました。
ゼノンが艦載MS「バリエント」のパイロットのアル・アルハザットさんに命令を出します。
「見て来いアル!」
「了解! ワレ、これより降下せり!!」
その時です。
「アタシのセリフこれだけぇ?ま〜いいけど
それじゃ、あなたに、力を……!」
「ツインサテライトキャノン!! 行けッ!!」
デニスのガンダムDXは、カチュアが祈りを捧げる中「バルベルヶ島」にツインサテライトキャノンを発射し
降下したアルさんの乗るバリエントごと島を消滅させました。
「弱肉強食!!それが戦場の掟だ!!」
デニスが叫びます。大量破壊兵器万歳!!
そこに通信が入ってきます。ゼノンからです。
『コマンドー! 聞こえているか? コマンドー!』
「聞こえてます」
『まだ誰か残っているか?』
「死体すらありません」
『もう一度コマンドー部隊を編成したい、君さえ戻ってくれれば』
「今日が最後です」
『また会おうデニス』
「もう会うことはないでしょう!!」
そうデニスが言うのと同時にEDテーマが流れ、観客から歓声が聞こえます。USA!USA!USA!
みんなで一緒に叫びましょう!USA!USA!USA!
元ネタがわからない人には全く意味のわからないSSでしょうね。
多分、元を知っていても意味不明でしょう。
USA!USA!USA!
めでたしめでたし。
総括:丁度BSで「コマンドー」が放映される日と投稿日が被る奇跡。