「ザニー売りのラ・ミラ・ルナ」
むかしむかしあるオリキャラ軍に、ラ・ミラ・ルナという
それはそれは運に見放されたオペ娘がいました。
今日も雪の降りしきる基地の中、売れるあての無いザニーをひたすら売っています。
「ザニーいりませんか、ザニーいりませんか…?」
必死にザニーを売るラ。
しかし、まわりの軍人の態度は非情です。
「ざにぃぃぃ!? ひィ、いらねぇぇぇ!!」
「最初からジム生産できっからザニーなんざいらねぇんだよッ!
ヒャヒャヒャヒャ!!」
「最近のGジェネにはザニー出てないから、買っても出撃できないって宇宙の声が」
「ハンパな覚悟じゃソイツは購入できないぜ!」
「えーマジでザニー?」
「ザニー生産が許されるのはPS作品までだよねー」
売れません。仕方ありません。だってザニーだし。
そもそも普通は個人でMSなんて買いません。
彼女がこんなMSを売らなくてはならなくなったのも
彼女が最近貢いでいたビリー・ブレイズという男がどうしようもない男で
MS販売の商売を思いつき、全財産を投げ打った上
ラを保証人にして、借金まで作って大量のMSを購入したものの
伝票のミスのためにジムと間違って大量のザニーを買ってしまったのです。
ザニーは売れず、ビリーはラを捨て失踪。
ラに残ったのは膨大な借金と大量の不良在庫ザニーだけでした。
せめて、ザニーを売ってお金を返さないと。でも売れない。
家も差し押さえられてしまい、呆れた親にも勘当されてしまいました。
「寒い…ザニーいりませんか……ザニーいりませんか…?」
ただ、そう呟き続けます。
しかしそんなラを相手してくれるのは、体に降り積もっていく雪だけでした。
(このままザニーが売れなくて、借金が返せなかったら、私…)
そう考えたラは、全てがどうでもよくなりました。
「あはは…あははは…」
ラは、ヤケになりました。
そして、その辺に奉られていたキャトル様に乗り込むと
大量の不良在庫ザニーにガソリンをまいて火を放ちました。
「こうなったらヤケよ!
そうよ…みんな燃えちゃえばいいんだわ!」
火に包まれるザニー達。火が融合炉に誘爆し爆発する機体。阿鼻叫喚の軍人達。
基地は一転、地獄絵図と化しました。
その中で、ラは幻覚を見ました。
「あぁ、あったかい…あぁ、私がオペレーターをやってる…
皆に大事にされてる、褒められてるよぅ……
みんなが私を認めてくれてる、優しくしてくれる……嬉しい…あったかい………」
消火作業の終わった翌朝、キャトル様のコクピットの中で冷たくなったラが発見されました。
その死に顔は、彼女が生前誰にも見せたことのないような、充実した、喜びに満ちた、安らかな表情だったそうです。
彼女にとっては、死の間際に見た幻想が、それまで生きてきたどの瞬間よりも輝いていたのです。
見て下さい、この嬉しそうな死に顔…あなたは、こんな顔で死ねますか?
めでたしめでたし。
……
リコル「あれれ、先輩ってば幸せそうな顔で居眠りしちゃってますね〜」
パメラ「いや、どう見てもうなされてるけど…起こさなくていいんでしょうか?」
リコル「へーきへーき!」
ビリー「いや、なんかコイツすっげー失礼な夢見てる気がするんだが…」
めでたしめでたし。
総括:最新作で復活確定だよ!やったねザニーくん