ブラッド先生、海へ




ドク「ヒャアーハッハァー!! 夏だぁぁぁ〜!
   海だぁぁぁッ!
   しぃぃしぃぃぃしぃぃぃいぃッ!! 海海海ぃぃ〜!!」

ブラッド「クククク…こちらでは久しぶりだな、キサマら!」

ジュナス「今日は僕達三人で、とある南の島に来ているわけですけど…」

ブラッド「いや…しかし流石は南の島、といった所だな…
     暑くてかなわんな全く…」

ジュナス「それはいつものコートを着たままだからでしょ。
     着替えればいいのに…」

ブラッド「何を言うゴミが…これは大事なワタシ自身のキャラとしての「記号」なのだ!
     これを外す事はワタシのプライドと美学が許さん……」

ジュナス「そ、そうですか…」

ドク「ぬぉおあぁぁぁぁッ!! なつのひざしがぁぁぁぁ!
   オレさまのとうひにちょくせつあたってくぅぅるぅぅぅ〜!!
   みぃぃなぁぁぎぃぃるぅぅぅッ!!」

ジュナス(ブラッドさんと違って、ドクさんの軍服はさすがに涼しそうだなぁ…)

ブラッド「まぁ何はともあれ……我々がこんな辺鄙な所まで
     わざわざ出向いてきてやった理由を説明せねばな。
     ジュナス、やっておけ…」

ジュナス「はい!
     えっと、僕達の部隊は作戦上の理由でこの島に
     一時的に停泊する事になったんですが…」

ドク「おぉぉぉカモメがすげぇぇぇ飛んでるぅぅぅぅ〜!!
   かもめぇぇぇがとんだぁぁぁぁぁッ!!」

ジュナス「…どうせこんな所に停泊するなら、と
     ブラッドさんが戯れにというか、部隊内の資金稼ぎの為にという名目で
     ここに海の家を開こうと言い出しまして…」

ブラッド「クククク、名付けて「海の家計画」だ…
     …これも一応任務の一つだ、気を抜くなよゴミども…」

ドク「まっかせぇぇなさぁぁいッ!」

ブラッド「…とはいえ今日は下見だ、各自適当に海を楽しみながらついて来るがいい…」


〜浜辺〜

ブラッド「この辺りに建てるとするか…」

ジュナス「えっ、建物を借りるんじゃなくて一から建てるんですか!?」

ブラッド「クククク、その通り…
     店舗については…デニスやグレッグ、ギルバート辺りを呼び出し建てさせる!
     ログハウス風に仕上げさせる予定だ…」

ジュナス「へぇ、かなり本格的なんですね…」

ブラッド「どうせ体力が有り余っている連中だ、使えるだけ使わねばな……!」

ドク「おぉぉぉカニだカニだぁぁぁぁ〜!! 捕まえてやぁぁぁるぅぅぅ〜!!」

ジュナス(ドクさん、ホントに海を楽しんでるなぁ…)

ドク「ぬぉおわぁぁぁッ!! 挟まれたぁぁぁぁ〜!!
   時が見えるよぉぉな気が…するかもしんないかもぉぉぉぉッ!!」

ブラッド「…ともかく、ワタシはドクを伴ってこの海水浴場の管理人達と
     話をつけてくる……その間適当に待っているがいい」

ジュナス「わ、わかりました!
     (手続きとかはちゃんとやるんだ…)」

ドク「おおッ! まっかせぇぇなさぁぁぁい!!
   オレも待って待って待ちまくるぅぅぅぅ〜!!!」

ブラッド「……いやキサマはワタシと行くと言っただろうが! さっさと行くぞ…」

ドク「あぁぁぁそうだったぁぁぁ〜!
   じゃあなジュナッスぅぅぅぅッ!」

ジュナス「二人とも、頑張ってきてくださいね!」

ブラッド「フン、何も頑張る事などありはしないがな…」

ドク「ヒャアーハッハァー! 楽勝らくしょおおぉぉぉ〜!!」

ブラッド「では行ってくるぞ……いやしかし暑いな……」

…………
ジュナス(あの二人が話を付けに来たら、相当怖いだろうな…
     ここの管理人さん達、気の毒に…)


〜待機中のジュナス〜

ジュナス(待つって言っても、一応任務中だし
     ただ遊んでちゃダメだろうな…何にしても一人だし。
     こんな事なら、他にも誰か呼べば良かったかな)

ドン

ジュナス「あ、すみません…」

????「あァあァ肩ぶつけやがってテメェ!
     あァ〜肩いっちまったァ!こりゃあ慰謝料と治療費ガッポリいただかねェとなァ!?
     ヒャヒャヒャヒャ!!」

ジュナス「…ニードルさん、何やってんですか」

ニードル「おォ…なんだよジュナスじゃねェかよォ!」

ジュナス「…ニードルさん、まさかいつもこうやって人からお金をたかってるんじゃ…?
     艦長にいいつけますよ?」

ニードル「な、なァに言ってやがんだよォ冗談に決まってんだろ冗談にッ!
     ったくお堅ェヤローだぜェ…」

ジュナス「いえ、それなら良いんですけど…
     (この人なら本当にやりかねないからな…)」

バイス「よぉジュナス♪ アロ〜ハ〜♪」

ジュナス「あ、バイスさんも来てたんですか。お久しぶりです!」

バイス「来てたっつ〜かさ♪
    ここに来る時アンタらが乗ってたマディアちゃん♪
    アレの操舵と通信やってたのオレ様達だったんだぜ〜♪」

ジュナス「そ、そうだったんですか…ありがとうございました!」

バイス「い〜ってい〜って♪
    んな事よりど〜だい♪ オレ様のアロハシャツとウクレレは似合ってんだろ〜♪
    この日差し降り注ぐ南の浜辺によ〜♪」

ジュナス「ちょっと似合いすぎて怖いくらいですよ…」

ニードル「オレなんかさっき海賊と間違われてよォ!
     観光客のパンピーどもにすッげェビビられたぜェ!ヒャヒャヒャ!」

ジュナス「そ、そうですか…
     確かに、海でそのバンダナは海賊っぽいですね…」

バイス「海賊っつっても下っ端の方だけどな〜♪」

ニードル「やかましィわッ!ヒャヒャヒャ!」


………
バイス「しっかし♪ 海といったらアレだろ〜?♪
    かっわい〜女の子達が水着姿でキャピキャピしてこそだろ♪」

ジュナス「そ、そうですね…」

バイス「ウチの部隊の女の子達ってレベル高ぇしさ〜♪
    パンピーレベルの水着じゃ〜オレ様の肥えた目はも〜満足できやしねぇ♪」

ジュナス(この人はこの人で相変わらずだな…)

バイス「で♪
    オレ様達が海の家って〜のをやっちまうってこたぁ♪
    これ♪ 期待しちまってい〜んじゃね〜の?♪
    ウチの部隊のレベル高ぇ〜女の子達の♪
    水着キャピキャピ期待してい〜んじゃね〜のこれ♪」

ニードル「テメェ…このシリーズに散々出ててまだわかんねェのかよッ?
     「ブラッド先生の○○」シリーズにそーいうの無ェからッ!」

バイス「マジか♪
    こんなのぜって〜おかし〜って♪
    海に来て水着キャピキャピ無しとかマジねぇ〜って♪」

ニードル「うっせーなァ!
     大体よォ、どーせ水着あったってSSだから見えねェかんなァ」

ジュナス(あぁ…僕は何が悲しくて
     この夏の海で、こんな人達とつるんでるんだろ…)


〜合流〜

ブラッド「ゴミどもとは話はつけて来た……これで準備は万端というわけだ」

ニードル「これでショバ代とられる心配は無くなったってわけだなァ!
     ヒャヒャヒャヒャ!」

ジュナス(ブラッドさん達から場所代取り立てよう、なんて思う人はいないと思うけど…)

バイス「っつ〜かブラッドよ〜♪
    せっかく海に来たってのに
    なんで来たメンツ男ばっかなんよ♪
    誰得♪♪♪」

ブラッド「フン、今日はどうせ下見と手続きの段階でしかないからな…
     今日の段階では……正直、人手は必要無い!
     移動と積載用のマディアを動かす要員と…交渉用のとっておきの悪人面一人
     あとはMSパイロットが一人いれば十分だったというわけだ…
     ……キサマらにはそれ以外、何も期待はしとらん」

ジュナス(マディアを動かす要員はニードルさんとバイスさんで
     交渉要員はドクさんだから…
     …もしかして僕は、最後に言ったMSパイロットとして呼ばれたのか?)

ニードル「ひっでェ言いようだなァオイ」

バイス「でもま〜い〜じゃね〜か♪
    海の家って〜のの本格オープン後は♪
    もち女の子とかもいっぱい雇うんだろ♪♪」

ブラッド「フム…そこまでは考えていなかったな…」

ドク「なぁぁぁにぃぃぃッ!!そこをかんがえとけよぉぉぉぉ〜!」

バイス「まったくだぜブラッドよ〜♪
    看板娘ちゃんのいね〜海の家なんざ♪
    どんだけメシが美味くたって誰もこね〜っての♪」

ブラッド「そういうものなのか……それは知らなかったな」

バイス「あいっかわらず♪ 知識の偏りハンパねぇ〜なアンタ♪」

ニードル「ってかよォ、オレらが接客とかまでやっちまッちゃあ
     モロヤクザが副業でやってる店みたくなっちまうからなァ!
     ソイツは考えモンだぜェ! ヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

ブラッド「確かに…そう言われてみれば、それはまずいな……」

ジュナス(でもパイロットだけなら、ドクさん達三人のウチ誰かで代用できるハズだし…
     考えてみれば、何で僕はここに呼ばれたんだろう?
     そもそも、今日は手続きだけならMSパイロットなんていらないような…)

ブラッド「…ジュナス!
     後でとりあえずオープニングスタッフ募集中の張り紙でも艦内に出しておけ…」

ジュナス「え…?
     …あ、はい!」

ブラッド「何をボーっとしている、全く…」

ドク「ヒャアーハッハァー! じゅなすぅぅぅぅッ!
   あつさでアタマがやられたかぁぁぁぁ〜!?」

バイス「何をい〜ゆ〜アンタじゃあるまいし♪」

ニードル「宇宙の声でも聞いてたんじゃねェのかァ!? ヒャヒャヒャヒャ!」

ジュナス「もう、バカにしないでくださいよ…
     でもブラッドさん、バイト感覚で集っちゃうんですか?スタッフを」

ブラッド「何…この「海の家計画」は名目上は部隊の資金稼ぎの為の「作戦」となっているからな…
     …そこに「レクリエーション」と「職業体験」も兼ねた作戦、という名目をも追加すれば
     我が部隊の構成員どもを……店員として雇う事には何も文句も出まい……」

ジュナス「(あぁ、大体見えてきた…)
     まぁ、つまり…今回の海の家の件は
     実際の所は資金集めはオマケで、ホントは
     職業体験を目的としたレクリエーションがメインの計画なんですね?」

ブラッド「…まぁそう言えなくもあるまい」


バイス「そんじゃま〜だいたいの手続きは片付いたってんだな♪
    じゃ〜オレ様ナンパしたりして遊んでくっけど構わんね?♪ え〜♪」

ブラッド「フン、好きにするがいい…」

ドク「じゃああぁぁぁオレ様はぁぁぁぁ!!
   ちょっくらやたいってのでめしかってくってるぜぇぇぇ!!」

ニードル「んじゃま、オレもちょっくら散策してくっかなァ…」

ブラッド「各自勝手にやっていろ……」


………
ジュナス「ブラッドさん、良かったんですか? 行かせちゃって…」

ブラッド「構わん、今日のところはヤツらは用済みだ……
     …それより、やらねばならん事がある」

ジュナス「やらなきゃならない事!?
     もしかして…今日はその為に僕を?」

ブラッド「その通り……むしろ、実際は「海の家計画」などはオマケに過ぎん!
     本来の目的は別にあるというわけだ…」

ジュナス「本来の目的…?
     そういえばマディアにザクマリナーとアクアジムが積んでありましたが
     あれに僕が乗るんですか?
     一体何のために…」

ブラッド「そんなもの決まっているだろう…この時の為に独自にカスタマイズさせておいた…」

ジュナス「カスタマイズを…?」

ブラッド「さっそくだがジュナス、マディアに戻り…ザクマリナーかアクアジムか
     どちらか好きな方に乗り込むがいい……水中戦用意だ!」

ジュナス「え!? そんな急に…!
     まさか、敵がこんな所に!?」

ブラッド「説明している暇は無い…
     片方にはワタシが乗り込む! ……さぁ行くぞ!」

ジュナス「は、はい!
     (敵が来てるとしたら、こんな所で戦闘を拡げるわけにはいかない…
      即急に対処しないと!)」


〜海中〜


ジュナス『………』

ブラッド『………』

ジュナス『…あの』

ブラッド『……何だゴミが』

ジュナス『水中戦って…地引網設置作業ですか?』

ブラッド『その通り…この機会に海の幸をいただいていこうと思ってな…』

ジュナス『はぁ…
     また地味な作業を…』

ブラッド『安心しろ、近隣漁協組合から許可はとってある……』

ジュナス『そういう所は本当に律儀ですよね…
     …これ、僕じゃないとダメでしたか?』

ブラッド『ドクやニードルなどには、あまり繊細な作業は任せたくないのでな……
     格闘が得意な者は……MSに繊細な動きをさせる事が得意と聞いてな』

ジュナス『なるほど、そういう事ですか…
     でも、海の中って…こんなにキレイだったんですね!
     魚もいっぱいで、サンゴ礁も、海草も…みんなキレイだ』

ブラッド「フン、まぁこの景色が見れた事が……今回の報酬だとでも思っておくんだな』

ジュナス『十分過ぎますよ!
     なんだか…自然というか、地球の声を聞いているような気がします!
     ここにいると…』

ブラッド『宇宙の声の次は地球の声ときたか……』


〜翌日〜

ジュナス『地引網の引き上げ、完了しました!』

ブラッド「フン…よくやった、帰還して構わんぞゴミが…
     流石は噂に聞くガンダムタイタス……クククク、素晴らしいパワーだ!
     たった一機でこの巨大網を引き上げるとはな……!」

ジュナス『でも砂に足を取られてそれなりに大変でしたよ…
     でもブラッドさん、今日はこの為だけにこの機体を…?』

ブラッド「当たり前だ…さぁ、何が獲れたかを確認せねばな!」

〜確認中〜

ブラッド「魚もあるが……ゴミもかなりの数がかかっているではないか…」

ジュナス「海でものを捨てたりする人がいたり、ゴミが浜辺に流れ着いたりするからでしょうね…」

ブラッド「海辺付近はゴミが多いとは聞いたがな……全く」

ジュナス「あんなキレイな海にここまでゴミがあったなんて…なんだかショックですよ」

ブラッド「……仕方あるまい」


〜さらに数日後〜

ドク「…なぁぁぁブラッドぉぉぉッ!
   海の家けぇぇかくはどぉぉぉなったんだよぉぉぉぉ〜!!」

ブラッド「フン、黙って手を動かせゴミが……
     海の家計画を実行する前に……海辺の掃除をする事にしたのだ!」

バイス「こ〜いう時ばっかかりだされてオレ様ァ悲しくなってくらァ♪
    オレ様の海辺でウハウハ計画もと〜ぶん延期かよと♪」

ブラッド「ゴミだらけの浜辺で、海の家を営業するなど……このワタシには我慢できなくてね…!
     浜辺に散乱する汚らしいゴミどもは…この我々が粛清する!」

ニードル「ホンット、変に律儀なとこは変わんねェんだからなァったくよォ…」

ジュナス「皆も海と地球の為、ゴミはちゃんと持ち帰ろうね!
     それが地球の声だよ!」

ドク「せやなぁぁぁぁッ!」

ニードル「せやせやァ…」



ブラッド「いやしかし……暑いなこれは…」

ジュナス(だからコートを脱げばいいのに…)



※掃除をしている間に停泊期間が終わったそうな


もう何度目かわからない(了)