08:30 MS点検は終了していた


ようやくMSデッキに到着した。そんな僕に声をかけたのは
ケイ「よぉ シェルド やっと来たか。けどもう全機、点検は終了したからオマエのやることはな〜んもねぇぞ」
整備班の班長のケイさんだった。男っぽい豪快な性格だけどメカに関してはデリケートに扱う。頼りがいのある班長だ。

続いて声をかけたのは
ミンミ「おはようであります」
ライル「おはようシェルド君」
整備班仲間のミンミとライルさん。
ミンミは僕と同年代なので作業していると声をよくかけてくれる。
ライルさんは一旦作業に入ると黙々と取り掛かるので話しかけるのはこのような作業前後になる。

とりあえずやることが無いけどここに待機することにした。


08:45 発表 チーム編成


待機している間はストレッチをして体をほぐしていた。
そうしているうちに時間になった。
みんなで待機しているとニキさんが来てチームを読み上げた。

ニキ「まずはチーム1
リーダー…マーク:アヘッド
ラナロウ:ガデッサ
ジュナス:ガラッゾ
シェルド:ガッデス

続いてチーム2
リーダー…エリス:ガッデス
クレア:アヘッド
カチュア:ガラッゾ
シス:ガデッサ

最初の組み合わせは以上です」

最初から僕の出番か。まぁやれるだけやってみるか。


08:55 マークさんの作戦


MSに乗り込んで所定の位置に着くとマークさんから今回の作戦について言い渡された。

マーク「まずシェルドは隕石に隠れてひたすらファングで牽制してくれ。その近くに俺がいて敵の接近を知らせるからその場合は逃げることに専念するんだ」
わかりました。

ラナロウ「ってことは俺とジュナスがアタッカーだな。任せとけ」
マーク「あぁ そういうことだ。ジュナスも大丈夫だな?」
ジュナス「宇宙の声が聞こえるので大丈夫ですよ」
マーク「そっ そうか。それならいいんだ うん」

ジュナスには『宇宙の声』というわけのわからない電波?が聞こえるらしい。正直言うと誰にもわからない。

ラ「みなさ〜ん あと1分で開始で〜す」
オペレーターのラさんから通信が入った。
いよいよ模擬戦が始まる!!


09:00 模擬戦開始〜今回の機体&趣旨説明


ラ「5…4…3…2…1………模擬戦開始です!」
ラさんの通信によってついに始まった。そして早速マークさんから指示が届いた。

マーク「シェルド ファング射出!!
ラナロウ・ジュナスは隕石を避けつつ敵が視界に入ったら攻撃だ」
ラナロウ「りょ〜かい」
ジュナス「了解しました」
二人が隕石群に向かって見えなくなった。
僕も身を隠しながらファングを射出した。

今回僕が使用している機体は『ガッデス』
ソードファングによるオールレンジ攻撃
ヒートサーベル・カッターによる接近戦
牽制用のバルカン
戦闘用の機体じゃないけどそれなりに武装がある。

そして今回は模擬戦なので射撃兵器は競技用ビームライフルに仕様変更がなされている。
この競技用ビームライフルはレーザー照射で的に命中させる仕組みとなっているので機体の損傷が無い。
ソードファングも本来ならビームサーベルが出る仕組みだけど今回はビームサーベルが出てこないだけの仕様となっている。
ちなみにビームサーベルは使用禁止となっているためヒートサーベル等が接近戦の武器となる。

なお戦闘時間は1時間となっているが、敵の撃破ではなく連携を試す模擬戦となっている。


09:01 トランザムの有無


カチュア「ねぇねぇ ラさん機体について質問があるけどいい?」
ラ「何ですか?」
カチュア「これってトランザム使えるの!?」

トランザムとは一部の太陽炉搭載機体の出力を一定時間3倍にすることが可能なシステムである。
擬似太陽炉搭載機体ではガッデス以降に開発された太陽炉を搭載した機体がトランザムを可能としている。

ラ「今回は模擬戦なのでトランザムは使えないですよ。
開始前に言わなくてごめんね」
カチュア「わかった。ありがとう」

なおこのやり取りは模擬戦後にラさんから聞いたことである。


09:15 交戦


僕の射出したファングに相手が気付いた。
カチュア「ファング見〜っけ」
シス「だけど……シェルドは見えない」
クレア「どっかに隠れてるんでしょ。探しだそうよ」
エリス「そうね。みんなで探しましょう(けど他の人の機体が見当たら無いのは変ね)」
エリスがそう言った瞬間だった。

パァーン パァーン
カチュア・クレア「えっ!?」
シス「今のは!?」
エリス「ガデッサの狙撃!?それともアヘッドの射撃?」
機体には当たらなかったけど銃声が響いた。それを合図に彼女達の近くのデブリに隠れていたジュナスが
ジュナス「もらった!!」
クレア「うぉ!?ジュナスいつの間に!?」
それを見たカチュア・シス・エリスがバルカンの弾幕をしたが、どれも当たらなかった。そしてジュナスのガラッゾがクレアのアヘッドに激突した。しかもクレアはシールドで防御しなかったので正面からまともに体当たりをくらった。

クレア「よくもやったなぁ!!」
ジュナス「そうやって驚いて攻撃も防御もしてないとすぐに戦場では撃墜されるよ」
クレア「にゃにぃ〜 ジュナスめ、なんか生意気だぞぉ〜」
エリス「ハイハイ 通信はいいから落ち着いて」
シス「相手のペースに……飲み込まれすぎ」
クレア「わかったよぉ〜」
クレアが落ち着いたところで
カチュア「ねぇねぇジュナスがまた隠れたよ」
エリス「そうみたいね(やっぱりマークさんの作戦か。こっちも何か作戦を考えなきゃ)」

こうして戦端の火蓋がきられた。


09:30 ジュナスの帰還


マーク「よし 作戦成功だな」
ラナロウ「あぁそうだな。あいつら作戦たてねぇで猪突猛進したから楽チンだぜ」

ラナロウさんはあぁ言っているけど向こうも作戦の立案しているだろうから油断は禁物だと思う。

そう思っていたらジュナスが戻って来た。
ジュナス「ただいま戻りました。クレアに体当たりして来ましたよ」
マーク「ご苦労様。この調子で次も頼むぞ」
ジュナス「ハイッ」

さて向こうの反撃はどう出るのかな?


09:25 エリス達の作戦会議


ジュナスがこちらに合流する前・・・

カチュア「ねぇねぇどう攻める?」
シス「まず正面突破は…無理」
クレア「みんなが同じ機体だったら『ジェットストリームアタック』とかジェリドの『時間差攻撃』できるんだけどねw」
等と三人がいろいろ言っているうちにエリスにはある作戦が思い付いた。

エリス「みんな よく聞いて!! これから私の言うとうりに行動して」
クレア「おっ なんか思い付いたみたいだね」
カチュア「ねぇねぇどんな作戦!?」
エリス「かくかくしかじか………というわけ わかった?」
シス「うん……わかった」
カチュア「ハ〜イ」
クレア「やってみせるさ!!」

どうやらいい案が浮かんだようだ。これは楽しみだな。


09:40 エリス達の反撃そのJ


こちらにカチュアのガラッゾが突っ込んできた。

カチュア「いくもん!」

マーク「たった一人だと!?」
ラナロウ「どうする?」
ジュナス「こちらから攻撃仕掛けてみますか?」
マーク「とりあえず全員でバルカンを撃って様子見だ」
ラナロウ「O.K やってやるよ」
ジュナス「わかりました」
というわけで全員の機体でバルカンをカチュア機に発砲した。
ダダダダッ ダダダダッ ダダダダッ ダダダダッ

カチュア「GNフィールド展開!!」
やっぱりと言うより当然だけどガラッゾは攻撃を防ぐGNフィールドを展開した。そしてこちらに突っ込むのは諦めたかのようにその場で停止した。

マーク「よし 今度はシェルドがヒートサーベル・ジュナスがスパイクで接近戦を仕掛けてみてくれ」
ジュナス・シェルド「わかりました。やってみます」

こうして僕はガッデスのヒートサーベルを突き付けてジュナスは右肩を相手の正面に向けた。
そして二人でカチュアのガラッゾに突撃した。
カチュア「お〜っとっと 危ないなぁ もぅ〜」
しかしカチュアは反撃しないでただただ回避するだけであった。

そういえば他の三人はどうしたんだろう?


09:45 エリス達の反撃そのII


マーク「う〜む 攻撃を続けてかれこれ5分たったのだが相変わらず射撃にはGNフィールド展開をして接近戦を仕掛けると回避だな」
ラナロウ「だよな。な〜んかおかしいよな」
ジュナス「もしかして……囮作戦?」
マーク「その可能性があるな。よし全員で固まるぞ。俺が正面・ラナロウは右側面・ジュナスは左側面・シェルドは後方監視だ。いいな」
ラナロウ・ジュナス・シェルド「了解!!」
こうして僕達は一ヶ所にまとまってマークさんの指示どうりの方向を監視した。

それを見ていたエリス達は
シス「あの警戒を……どう解くの?」
クレア「カチュアを突っ込ませてバラバラにしたところを狙い撃ちすればいいんじゃないの?」
エリス「そうね。それがいいわね。ただし狙うのはシェルドのみよ」
シス・クレア「なんでシェルドに集中砲火をするの?」
エリス「マークさん・ラナロウさんはカチュアのガラッゾを避けても警戒を怠らないしジュナスはカチュアと同じガラッゾだからフィールド展開で防ぐことができるけどシェルドは避けたら油断する可能性があるからよ」
クレア「な〜るほど よく分析したねぇ〜」
シス「じゃあカチュアに作戦を伝えるわ」
エリス「えぇお願い」

カチュア「あっ ミーちゃんからだ!!



な〜るほど んじゃ早速突撃ぃ〜」

カチュアのガラッゾがこちらに突っ込んできた。
マーク「チッ 固まったのが失敗したようだな。よし散開する!」
マークさんがそう言った後僕らはカチュアを避けるために散り散りになった。
ここまではエリス達の作戦どうりだったみたい。


09:50 エリス達の反撃そのL


エリス「こちらの作戦どうりよ。じゃあ攻撃開始!!」
クレア「よっしゃ 狙い撃つぜ!」
シス「GNメガランチャー発射」
エリスのガッデスのファング・クレアのアヘッドのビームライフル・シスのガデッサのGNメガランチャーが僕のガッデスめがけて攻撃をしたのだが・・・
ジュナス「やっぱりおまえが狙われていたな。マークさんの予想どうりだぜ」
ジュナスのガラッゾがGNフィールドを展開して僕の盾になった。

それを見ていた三人はと言うと
エリス「うそ!?なんでジュナスが!?」
シス「マークが事前にこうなると予想してたかも」
クレア「ちょっと二人とも、んなこと言ってる場合じゃないって!!」
マーク「フッ ようやく見つけたぜ」
ラナロウ「こっからは小細工無しのガチンコ対決だぜ」
ジュナス「お互い全力で勝負だっ………」
相手の機体が目視可能な距離まで僕達は接近した。けどジュナスはカチュアに突き飛ばされたようだ。
カチュア「あ〜 今のジュナスだったんだ。まぁいいや」

そうこうしているうちに残り時間はあとわずか。


09:50 ブリッジの会話


僕達がこうして模擬戦をやっているのを見ていたブリッジでは

ゼノン「エリスはガラッゾのGNフィールド展開を上手く使用して作戦を立てているようだったな」
ニキ「そうですね。その一方でマークはファングに相手の注意を逸らす作戦でしたね。これらはそのまま実戦に使えそうですね」
ゼノン「うむ そのとおりだな。あぁ次は誰にするんだ?」
ニキ「現在通信・操舵を担当しているラとエルンストは確定しておりますよ。他のメンバーもだいたい決まっており今回と違い男女混合チームを編成する予定ですね」
ニキさんがそう言った瞬間だった。

ラ「私が次の模擬戦に出るんですかぁ〜」
エルンスト「よっしゃ 次はMS乗れるぜ!」
嫌そうなラさんと喜ぶエルンストさんの対照的な声がした。
ニキ「ラもいざという時のためにこうして模擬戦で乗ってもらわないと困ります。あぁ二人が模擬戦に参加している間はマリアに操舵を通信はリコルに任せます。
いいですね」
ラ「りょ〜かい(ハァ なんでオペレーターの私がMSの操縦しなきゃいけないのよぉ〜)」
エルンスト「了解!ところで俺はどれに乗ることになるんだ?」
ニキ「それはあとのお楽しみですよ」
エルンスト「おぉ そうか」

等と三人が話してるのを聞きながら
ゼノン「残り時間10分か(まぁ 機体の損傷は軽微だから次は10:30には開始できそうかな)」
と呟く艦長であった。


10:00 模擬戦終了


相手を目視可能状態となってからの戦闘は

ラナロウ「もらったな」
GNメガランチャーを撃つ
クレア「なんとぉぉぉ」
回避

エリス「そこね! ファングなら!」
マーク「甘いっ!!」

カチュア「いっくぞぉ〜」
GNスパイクで突撃
それを僕は回避

シス「もらったわ」
ジュナス「クソッ 当たるわけにはいかないんだ、GNフィールド展開!!」

こんな感じで攻撃と回避をお互いに繰り返していた。そして
ラ「時間で〜す。皆さん帰還お願いしま〜す」
ラさんから模擬戦終了の通信がされた。だけどなんか怒っている感じだったので理由を聞いたら・・・
ラ「オペレーターなのに次の模擬戦に私が出ることになったんですよ。ニキさんひどくないですか?〜以下省略」
とラさんの愚痴を延々と聞くことになった。


10:10 キャリーベースに帰還


リコル「皆さんお疲れ様ですぅ〜。この後は一応メディカルチェックをお願いするですぅ〜」
帰還したらオペレーターがリコルに交代していた。

コクピットから降りると既に次の模擬戦の参加メンバーがいた。その中には愚痴を言っていたラさんと普段操舵をしているエルンストさんの姿があった。

その様子を尻目に僕が整備を手伝おうとしたら
ケイ「さっきリコルが言ったろ。アンタは医務室行きだって」
ミンミ「ケイさんの言うとうりであります」
ライル「ここは僕らに任せて君はちゃんと身体の状態を調べないと」
等と整備班のみんなにいろいろと言われたのでMSデッキをあとにして医務室へと向かった。


10:20 ルナさんのメディカルチェック


僕が医務室に着いたらチェックが終わったジュナスが声をかけた。
ジュナス「遅かったな。ルナさんが待っているぞ。んじゃ先に行っているから」
そう言って部屋に戻って行った。

そして診察の椅子に僕が座ったら
ルナ「遅いぞ。診察してもらう立場のくせに……私を待たせるな!!」
と言われた。

ルナさんはキャリーベースでは女医として勤務している。
寡黙であまりしゃべらないけどマリア姉さんとは仲がいいので部屋がいっしょになっている。

そして早速診察を開始
と言っても服を脱いで心音を聴診器で確認して口の中を調べるだけだった。ちなみに結果はすぐに言われた。
ルナ「異常無し。行ってもいいぞ」

そう言われたので服を着て
ありがとうございました
と一言お礼を言って医務室を出て行った。